Categories: 洒落怖

怖い井戸

この怖い話は約 2 分で読めます。

626 :本当にあった怖い名無し:2014/03/26(水) 17:42:10.83 ID:qjUiN5OK0.net
「俺は混乱してたけど何かやばいものを見ちゃったんだなと思ってとになく平謝りに謝ったよ。でもダメだった。その日の内に会社を首になったよ。
今日見たことを決して漏らさないように誓約書も書かされた」
「え、じゃあ僕にしゃべるのもまずいんじゃ……」
「かも知れないな。でももう我慢できなかった。俺見たんだよ」
「はあ?」
「夢に出てきたんだ。その井戸が」

627 :本当にあった怖い名無し:2014/03/26(水) 17:45:45.82 ID:qjUiN5OK0.net
「もう何年も経って記憶も薄れているのに、はっきりとした形で現れるんだよ。そして見る度に近付いてくるんだ。それだけじゃない。蓋が動くんだよ。
ちょっとずつ横にずれていってるんだ」
「……それ毎日見るんですか?」
「違うよ。だから怖いんだ。もうずっと見てない。もう見ないんじゃないか。
そう思った頃に出てくるんだよ」
おっさんは顔をくしゃくしゃにして言葉を絞り出していた。最初にあんなににこやかだった人と同一人物だとはとても思えなかった。

628 :本当にあった怖い名無し:2014/03/26(水) 17:51:38.08 ID:qjUiN5OK0.net
「だからあんたが一人でいるのを見たとき、ちょうどいいと思ったんだ。あんたに話せばきっと夢も遅くなると思った」
「遅くなる?」
「あんたと夢を分け合えるんじゃないかと思ってさ。そうして話しかけたら、どうだ。あんた自分から井戸の話をした。渡りに舟とはこのことだと思ったね」
その時は不思議と腹は立たなかった。おっさんの切羽詰まった様子があまりに印象的だったせいかも知れない。
その夜は夢に例の井戸が出てこないか心配だったが、何事もなかった。酔っ払いにひっかかったと旅の思い出にしてしまっていた。

今になってなぜここへ書いたか、解るよね?
続きからだった。もう猶予はない。
なるべく大勢に見て欲しい。夢が跡形もなく散らせるくらい大勢に。

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