助けてくれた娘二人

この怖い話は約 3 分で読めます。

話しを戻します…
4日目に意識を取り戻した訳ですが、その時の事ははっきりと覚えています。
意識の中なのか夢の中なのかは分かりませんが…私はあの男に連れていかれそうになってました。
見た事も無い崖の上で私は崖を背に前に進もうとします…

839 本当にあった怖い名無し 2006/04/10(月) 22:34:13 ID:nqlfj07hO
ソソ━━━(゚∀゚)━━━!!!!

840 本当にあった怖い名無し 2006/04/10(月) 22:34:55 ID:RP1eOKnJO
が、あの男が後ろから私を崖下に引きずり込もうとしています。
前には恐らく私が引きずられてきたであろう跡が続いて…
「離してくれ!」私の叫びを無視して男は私をただひたすら崖下へと引きずろうとしてくる。
崖の下が見えてくる…底が見えない真っ暗な闇?その中から無数の手や顔が見える…
絶望的な恐怖がこみあげてくる。
「嫌だ、娘に、妻に会いたい…まだ…死にたくない!」
声の限り叫んで必死にもがく私の左手をふいに誰かが掴みました。
『パパ?帰ろう』
何で?と思う間に娘は小さな手に力を込めて私を引っ張る。
私は必死で力を込めて前へと進むが後ろの男も一段と引きずる力を増してきます。
このままでは…娘まで引きずり込まれる…
「早く離しなさい、もうパパはいいから!」
何度か言っても娘は巌として聞かない…
小さな体に精一杯の力を込めて私を引っ張る。
だがもう後がない…
私は覚悟を決めました。右手で左手を掴む娘の手を振り払おうとした時、その手をまた誰かに掴まれました。
……!?
私は新たな手の主を見上げ…手の主も私を見ている…あの人だった。
前に私が峠で助手席に乗せた女性だ…
彼女は私に微笑みました。

842 本当にあった怖い名無し 2006/04/10(月) 22:37:30 ID:RP1eOKnJO
あの時は悲しく寂しげだった顔が今回は…上手く表現出来ないのですが満ちたりたかの様に、淡く輝く様に感じられました。
彼女は私の後ろを見ると『離して下さい』
と柔らかく、しかし力強い口調で言います。
良く分かりませんが彼女に怯んだのか男の力が弱くなっていく。
私の中でも不思議と力が満ちてくる様な気がし、渾身の力で男を振り払いました。
二度と見たくない様なおぞましい憎悪の表情で男だけが落ちて行くのが見え…
助かった…と思った瞬間に意識の中の私が意識を失いました…

ふっと目を開けるとそこには私を覗き込む妻が。
左手に温かみを感じ視線を移すと娘が私の手を握ったまま私の手に被さる様に眠っている。

私は目だけで周囲を見回しここが病室だと理解しました。

助かったんだと安堵すると娘が起き、私に微笑みながらパパおかえり、と。
私は泣きそうになりながら左手で娘の頭をやたら撫でつつ、ありがとうとしか言えませんでした。

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