この怖い話は約 3 分で読めます。

A子は急いでB男に電話。
繋がらない。何度かけても繋がらない!
繋がらない…どころか、電波が届かないだのいう案内や、通話中の音すらなく
ただただ無音なのである。
C子はB男のところにいったに違いない、A子は確信した。

緊張していた矢先のこと、突然、家電が鳴った。
「…もしもし」
「俺だ、B男だ」と答える声は聞き取りづらい囁き声。
「C子だよね、C子がそっちにいるんだね?」
返事がなかった、でもぶんぶんと頭を縦に振っている気配が伝わってきた。
恐らくマトモに声を出せる状況じゃないのだろう。
「C子…が……」
それだけ言って押し黙ってしまった。
相当震えているのか、合わぬ歯のカチカチいう音だけが聞こえてくる。
「ちょっと待ってて、私がどうにかする!」

なんでも、A子は自分の生霊というかオーラのようなものを自分の意識で
飛ばせるという。
C子のところに、生霊だけを送ったところ…いるではないか!
A子は、ドアに張り付いた半透明のC子らしきものを感じた。
生霊を飛ばすとA子はかなり体力を消費するらしいが、C子はB男への思いから、
無意識のうちにそれを飛ばしてしまっているらしい。
「C子は…C子は今どこにいるって言ってる? メッセ見てみて!」
C子は、逐一「私の行動メール」みたいなのをB男の携帯に送ってきていて、
着信拒否をされてからはmixiのメッセージに執拗にそれを送ってきている。
さすがにmixiまで拒否したりマイミクを切ると自殺しかねないため、
どうしようもなく彼はログインすることをやめることで被害を最小限に
しようとしていたらしい。

B男はPC子を震える体を引きずるようにして立ち上げ、メッセージを確認
しようとする。
送信してきた人の一覧が、未読のC子からのメールで埋め尽くされていた。
ぞっとする。

……最新のものを開く。
それは、「今、友達と渋谷に飲みにきてます」的な内容。
B男の家は八王子のほうであり、着信時間から見るに今こちらに来ているのは
物理的にあり得ない。
それがウソであればあり得ない話ではなかったが、そんなウソをつく必要は、
この状況において、果たしてあるのだろうか?
「今…渋谷にいるって書いて…ある」
「B男の部屋の前にC子いるよ…! でも透明っぽいの、どう見ても生身じゃない。
やっぱ生霊だと思う!」
その返事に、B男は確信したのか堰を切ったように語りだす。
「インターホン鳴らなかったし、ドアスコープは外が真っ暗で見えないけど、
俺もC子しか考えられない。なんかドアの外にいるんだ!なんか頭も痛い!怖い!
少し前からドアの向こうでなんかブツブツ言ってるのが聞こえる…!」

A子は、B男に盛り塩だか清酒の置き方などを指示。
B男は料理をしない性格だったので、あるのは酒…というか第三のビールのみw
とりあえずその第三のビールをドア前に供えたらしい。
その間、A子はその半透明なC子に「帰りなさい」と語りかけ続けた。

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bronco

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