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668 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/09(火) 00:10:14.59 ID:edXWTvBT0
胸糞悪い話になるかと思うが、誰にも話せない事だったから暇な奴は聞いてくれ。

当時、俺はまだ高校2年生。
ちょっとした理由で所属していた陸上部を辞め、どうせならいい大学を目指そうと、
スポーツから勉強に乗り換えようかと考えていた矢先の出来事だった。
部活をしていた頃は、朝は六時半から夜は七時過ぎまで練習があり、
俺の生活はほとんど学校と家の往復に費やされていたのだが、部活を辞めてからは、
特に何に縛られるでもなく、遅刻しない位に登校し、学校が終われば友達とだべりながら帰る。
そんな自由を突然与えられ、俺は正直自由な時間を持て余していた。
幼少時から陸上を始め、他にも水泳や剣道など習い事を数多くこなし、
自分の時間というものが極端に少なかったせいで、
その時の俺にとってはどうやって時間を使えばいいのか分からず、
ある意味贅沢な悩みを抱えていたのだ。
少年に会ったのは、そんなある日のことだった。
友達の買い物に付き合い、少し遠回りして自宅に向かっていた帰り道。
いつもはあまり通らない団地の前を通った時にふと目に入ったのが彼だった。
真夏なのに長袖のシャツと膝のすれたジャージを履き、片手におにぎりを持ったまま、ボーっと空を見上げていたのだ。

670 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/09(火) 00:12:30.14 ID:edXWTvBT0
「(こんなクソ暑いのに、変な奴)」

それが、俺の少年に対する第一印象だった。
それから二週間ほど、友達と遊んだり、買い物に行ったりするなかで、
どうしてもその団地の前を通ることがあったのだが、その少年はいつも似たような格好でおにぎりを片手に空を眺めていた。
さすがに、俺もその少年の事が気になって、発遭遇から三週間目ぐらいに俺は始めて少年に声をかけた。

「おい、お前。これでも食うか?」

少年に向かって唐揚げ串をさし出す。いつもおにぎりだけじゃ飽きてしまうだろうと、俺なりの配慮をしたつもりだったのだ。

「………………」
「おーい?」

しかし、少年はボーっと空を見上げたまま動こうとしない。
ちょっとムキになって、少年の目の前で手をヒラヒラさせると、少年はそこで初めて俺に気付いた様子でビクッと跳ね上がった。
「…………!!」そしておびえたような表情で俺を見つめる。そりゃそーだ、
いきなり顔も知らない高校生が唐揚げ串をさし出してくるなんて不審者以外の何者でもない。

「…………いいの?」しかし、その少年は俺の顔をジッと見た後、そんな風に呟いた。
「あぁ、食わないなら俺が食おうと思ってたから」

俺がそう答えると、少年は俺の手から串を受け取り一心不乱に唐揚げをほおばり始めた。
その必死とも言える食事の光景に、当時の俺は「(やっぱ腹減ってたのか)」とただ無邪気に思ったのだった。

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