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671 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/09(火) 00:16:36.30 ID:edXWTvBT0
その後も、少年と俺の交流は続いた。
しばらくは俺に対して警戒していた少年も、一週間近くお土産(唐揚げ君とか牛肉コロッケとか)
を持って通い詰めているうちに大分打ち解け、俺の事を“兄さん”と呼んでくれるようになった。
そして、両親とも共働きで、兄弟のいない俺からしてみても、少年はまるで弟のように感じたものだった。
少年と話していると、色々と驚かされることが多かった。
見た目から、少年は小学2~3年生位かと思っていたのだが、実際には小学5年生だったこと。
少年が「兄さん。もうすぐ雨が降るから、すぐに帰った方が良いよ」と言うと、その時どんなに晴天であっても後で必ず雨が降ること。
まるで占い師のように、俺の怪我を言い当て、それが原因で部活を辞めて少し腐っている事をズバリ的中させたこと等々。
元から少し不思議な雰囲気を持った少年だったが、ここまで来ると俺は素直に感嘆してしまった。
その事を少年に伝えると、少年は照れたような顔をして「別に、ただ何となく分るんだ」とはにかむのだった。
少年が居なくなったのは、それからさらに一週間。初めて遭遇した時から一カ月ほど経った頃だった。
それまで俺が団地を訪れると、いつも同じ場所で空を見上げていたはずの少年が忽然と姿を消してしまったのだ。
時期的にはまだ夏休み。「引っ越しでもしてしまったのかな?」と思い、
せっかく仲良くなった弟のような少年がいなくなった寂しさと、
一言も言わずに行ってしまったことに対する不満があったのだが、
その日の夜から、俺は悪夢にうなされることとなる。
672 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/08/09(火) 00:19:56.25 ID:edXWTvBT0
俺は狭い箱の中に閉じ込められていて、
息苦しくて、喉が渇いて、お腹がすいて、身体が痛くて動かせない。
どうにかしてここから出ようとしても、体を動かす事はおろか声すら出ない。
気付いてしまえば、瞬きすら出来ないのだ。
箱の外は綺麗な世界があると分っているのに、俺は動くことが出来ず、箱の中の真っ暗な闇にただ怯え、
いっそのこと発狂してしまえば楽になれるのにと思うのに、苦しくて、苦しくて、苦し、くて苦しく、て苦、しくて苦しくて、苦しく、てくるし、くて苦し、くてく、るしくて、苦しくて。
まるで呪いのように、ありったけの罵詈雑言を心の中で言い尽くしたころ、
俺の心が弱ったのを見計らったかのように箱が沈むのだ。
地面なのか水なのか、もっと深い所へ箱ごと俺が沈んでいく――――。
と、ここで絶叫と共に目を覚ますのだ。
子どものように寝小便を垂らし、全身から気持ち悪い汗をかいて、赤ん坊のように号泣している。
俺の声に飛び起きて来た両親は息子のそんな様子を見て、「狂ってしまった」と思ったそうだ。