この怖い話は約 3 分で読めます。

396 5/10 sage 2011/04/07(木) 14:07:31.88 ID:jxhdHeDl0
しかし落胆はすぐに興奮へと変わった。「裏に洞窟あるけど絶対近寄るなよ」と
O爺に念を押されたからだ。振り、なんて当時の俺はわかるわけないから
O爺もただ単に行かせたくなかったんだろう。
だが俺は行きたくて行きたくて仕方なかった。O君と河原で遊んでいるときも
婆ちゃんが作ってくれた柏餅を食べているときも「早くあの洞窟に行きたい」
という思いが頭の中をぐるぐるしている。
時間というものは、当たり前だが過ぎるわけであっという間に夜になった。
爺ちゃんと婆ちゃんが「明日もいっぱい遊ぶんでしょ」と言いながら
襖の扉を閉め、1時間は経っただろ!(おそらく10分くらいだが)と思う頃に俺はO君を起こした。
「なになに?」「あの洞窟、行こうぜ!」「んー…」
O君はすこし考えている素振りを見せたがそこは子供、すぐに「よし」と言い懐中電灯2本と手袋を持ってきてくれた。
洞窟、ということで手袋は配慮らしい。

397 6/10 sage 2011/04/07(木) 14:08:55.97 ID:jxhdHeDl0
洞窟へは意外と近かった。といっても興奮から時間を忘れたのかもしれない。
それは洞窟というにはあまりに味気ないものだったのが今でも覚えている。
大きく開いた穴、中は何角形かの形をした体育館くらいの広さだった。
O君が先頭で俺が後に続き中に入ろうとした。
いや、入っていた。俺は一瞬で取り残されたため、一瞬理解が追いつかなかった。
O君は洞窟に「すでに」入っていたのだ。
俺は叫ぶ「O-!!どうしてそこに!?」「わからない!助けて!!」
出てくればいいものをO君は必死に叫ぶ。

400 7/10 sage 2011/04/07(木) 14:19:08.01 ID:jxhdHeDl0

「わからない!」「出して!」「助けて!」
俺は身動きが出来なかった。今なら確かに見える、洞窟の中の存在に気づいたからだ。
俺はなにもわからなかった。この世にはこんなおぞましい存在がいるのか?
いや、ここはこの世なのか?そう思ったとき「存在」がO君を覆った。
俺は駆け出した。誰か呼ばないと…後ろでO君の叫び声が聞こえる。
「頼む!頼むよぉ!!」「早く助けて!」
婆ちゃんの家が見えた!そのとき…耳元で微かにO君が「もうだめだ」
と呟いたように思えた。
婆ちゃん!爺ちゃん!Oが、Oがぁ~
泣きながら叫ぶと婆ちゃんと爺ちゃんはすぐに駆けつけて
俺から事情を二言三言聞いた辺りから
婆さん、神崎さんに連絡だ
と言い「お前はここを絶対にでるなよ?」優しく、しかし迫力のある声で言った。

404 8/10 sage 2011/04/07(木) 15:00:50.86 ID:jxhdHeDl0

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