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あいつの自転車まだおいてあるじゃん。

344 本当にあった怖い名無し sage New! 2008/03/30(日) 23:22:49 ID:V+JD5sL30

携帯なんてなかった時代だ。一回外で離れてしまえば家に着くまで連絡の取りようがない。
小学生の俺たちは声をあげてそいつの名前を呼んだ。
一人が山に入って探そうって言い出したが、それは別の友だちに止められた。
もしかしたら自転車を置いて車で近くまで迎えに来てもらったかもしれないという話も出た。
なにせ、広場からここまではさっき通ったけもの道をまっすぐ来るだけなんだから、迷うわけがない。
落ちて迷い込むような淵も窪みも無い。だからそうに違いない、という事だったのだ。
で俺たちはとにかくそいつの家に確かめに行くことにした。
だけど、そこに友だちはいなかった。
自分たちの遊びを隠すこともできず友だちの親父さんに事情を話した。

345 本当にあった怖い名無し sage New! 2008/03/30(日) 23:24:02 ID:V+JD5sL30

親父さんは顔色を変え、寄り合いまで車で行ってしまった。俺たちはどうしていいかわからず
とにかく帰ることにした。家で事情を話すと普段じゃ考えられないくらいこっぴどく怒られた。
他の友だちもそうだった。そのときはただ友だちと危険な遊びをしたこととか、友達を見捨てて
帰ったことを責められたんだ、と思っていたが、
爺さんが事情はまるっきり違う事を教えてくれた。
あの山には昔、この地方を治めていた城の出城があり、この地方が近くの有力な大名に呑み込まれる
際に、まっさきに焼かれ落ちたところで、その跡地は今でも草木が生えないのだ、
と伝わっているという事。うちの爺さんはその供養でその山に時折入っては神酒をまいたりしている
そうだ。そんなところで花火やら戦の真似事をしていたら連れて行かれる者が出ても仕方が無い、
と静かに言ったのだ。

果たして友だちはまだ見つかっていない。
俺たちはあの時山に入って探しにいくべきだったのだろうか?

352 本当にあった怖い名無し sage New! 2008/03/31(月) 01:13:23 ID:vyQKFGkz0

いなくなった友達は警察にも届けられましたが今も見つかっていません。
自分たちは子どもだということ、またこういう事情を伝えていなかったことも
いけないのだということで、家以外ではむしろかわいそうな子、のように扱われました。
とくに他の友だちがどうかなった、という話は聞きません。

後日談という話でもないですが、その山はうちの集落の中の誰かで
そういう供養が行われてきたようなのですが、ここ何代かはうちの家系でやっている
そうで、「お前は昔目をつけられているからな・・・」と爺さんは渋っていますが、
いずれ自分がやるだろう、という事になっています。
そのような事件があったところで守り役を変わってくれる人はいないですから。

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