この怖い話は約 3 分で読めます。

783 780 sage New! 2011/06/26(日) 20:19:19.21 ID:TXVIrBId0
次の日から彼女はいじめられなくなった。
俺はさらに孤立したが何とも思わなかった。

ある日の帰り、校門に彼女が待っていた。
「○○君。あの時はありがとう・・・・・一緒に帰ってもいい?」
彼女は少し恥ずかしそうに俺に聞いた。
俺は頷いて一緒に歩いた。彼女は黙って少し後ろを歩いていた。
そして、彼女の家と俺の家との分かれ道に着くと彼女は
「じゃ、また明日。」
と笑って手を振って帰っていった。
次の日の朝、分かれ道に彼女は待っていて一緒に学校に行った。
こうして毎日、俺と彼女は一緒に登下校した。
休み時間も彼女がそばにいるようになった。
最初は何も話さなかった彼女は、
段々打ち解けてきて、家族の事とかをぽつりぽつりと俺に話してくれた。
彼女が幼い頃、おばあさんに作ってもらったお菓子がとても美味しくて、
いつか作れるようになって食べさせてみたいとか言っていた。

784 780 sage New! 2011/06/26(日) 20:23:43.20 ID:TXVIrBId0
たまに俺の家にも遊びに来るようになった。
俺は彼女専用のゲームのセーブデータを作って、
夜の間に彼女の為にレベルを上げておいたりした。
俺も徐々に一人でいるよりも彼女といるほうが楽しく思えてきていた。
周りはいろいろと囃し立て、ことあるごとにからかわれたが、
俺は危ない奴と思われているようで誰も執拗には言ってこなかった。
俺も彼女も周りに何を言われても全く気にならなかった。
彼女にだけは俺も話ができるようになって、
たまには笑うこともできるようになった。
俺が笑うと彼女は
「○○君の笑ったところ大好き!」
と赤くなって言ってくれた。
彼女は幼い頃のおばあさんとの楽しい思い出をたまに聞かせてくれ、
俺も何か思い出を話したかったが、
どうしても事故の前の小さい頃のことが思い出せなかった。
それ以外は彼女には何でも話せるようになった。

785 780 sage New! 2011/06/26(日) 20:28:53.76 ID:TXVIrBId0
中学生になってからもこの関係は変わらなかった。
中二のとき彼女が俺の家で遊んでいて、ふと俺に聞いた。
「どうして・・・あの時、助けてくれたの?」
俺は彼女が言った『それはだめ。お父さんの・・・』と言う言葉を思い出し、
「俺のお父さんとお母さんも・・・・・」
口に出したとたん、目から涙がぼろぼろ零れて止らなくなった。
俺の心の奥から後から後から事故の前の楽しかった思い出が涙と一緒に溢れ出し、
泣きながら、彼女にその思い出をひとつひとつ話した。
彼女も泣きながら辛抱強く聞いてくれ、俺を優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。
俺は彼女の優しさが嬉しくて強く抱きしめて初めてのキスをした。
キスをやめると彼女は
「・・・○○君、大好き。ずっと一緒にいさせて・・・」
と言った。

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