この怖い話は約 3 分で読めます。

233 3/5 sage 2009/06/06(土) 22:05:02 ID:HZZJCGmj0
そんな日々が数週間続いた頃だったと思う。
私は仕事が遅くなり、終電を逃してしまったためタクシーで自宅に帰る
事にした。
タクシーを呼び止め車内に乗り込むと、どうもタクシー運転手の様子が
おかしい、会話も無くちらちらとこちらを伺っており、非常に挙動不審で、
私はイライラして不機嫌そうに「なんだ?」と文句を言った。

するとそのタクシー運転手はぽつりぽつりとこんな事を言い始めた。
「こんな事は言いたくないのですが…あなたには何か非常に恐ろしいもの
が取付いています、最近身のまわりでおかしな事はなかったですか?
早急に御払いをした方がいいと思うのですが…」と。

私は心当たりが十分にあったが、急に恐ろしくなり「もうここでいい!」と
運転手に言うと、料金を払いそのまま後は徒歩で家路についた。

翌朝、私は昨晩のタクシー運転手の言葉が気になり、最近の出来事が
不安でもあったため、「体調が悪いから」と会社を休むと、実家のほうに
ある本家が檀家をしているお寺へと相談に赴いた。

234 4/5 sage 2009/06/06(土) 22:05:53 ID:HZZJCGmj0
お寺に到着すると、住職は私の姿を見るなり何も言わずに「とにかく
こちらへ」と本堂へ誘導し、そのまま何の説明も無いうちにお払いが
始まった。

お払いが終ると、住職は私にこんな事を言い始めた。
「あなたは最近某国へ行きましたね?最近あの国からよからぬものを
持ち帰ってしまう人が増えている」「あなたもそういうよからぬものに
憑かれていた」と。
そして更に住職はこう続けた。

あの国は数百年、もしかしたら千年以上も餓鬼道に堕ちた状態が続いて
いる。その状態のまま人が死ぬとそこに囚われ、逃れる事もできずに
怨念の吹き溜まりの渦ようなものができている。
もしここにこなければ、あなたもいずれその吹き溜まりに取り込まれていた
だろうと。

235 5/5 sage 2009/06/06(土) 22:07:07 ID:HZZJCGmj0
そして住職は、私はあなたに憑いていたものを成仏させたわけではない、
「元の場所に送り返しただけ」なのだという。
更に住職はこう続けた。

我々外国人は、あの国の中ではまるで闇世の中の光のようなもの
なのらしい。
怨念の渦のなかから逃れたい人々は、外国の人を見かけると、渦から
逃れたいがためにその人に取り憑くのだと。
あの地域そのものは最早どうにもならない、だから私達に出来る唯一の
自衛手段は「係わり合いにならない事なのだ」とも言っていた。

これ以降私の体調は元に戻り、精神的にも以前のように落ち着くことが
できた。
そして、私は二度とあの国へは行くまいと心に誓った。

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