この怖い話は約 3 分で読めます。

老人には何が起きているのかわからず、ただただ恐ろしく自分達の身にこの不幸が降りかからない
よう身を潜めるしかなかったという。
そんなある日、老人は店に来た客からある噂を聞いた、「どうも連行された人達は子供たちに密告された
結果らしい、子供たちは自分の親や学校の教師ですら躊躇無く“密告”している」と。

老人には信じられなかった、子供たちの何人かは老人も知っていて親と共に自分の店に靴を買いに来
たこともある、そんなごく普通の子供たちが、自分の親や教師を密告している、あまりにも現実離れしていた。
しかし、老人の町にも「紅衛兵」と呼ばれる集団がやってくると老人もその事実を信じざるをえなくなった
らしい。

そんなある日、老人が国を捨てる決定的な出来事が起きた。
その日、共産党からの命令で老人はある学校に生徒用の靴を納入しに行く事になった。
老人が荷車に靴を載せて学校につくと、学校の裏庭から何かを調理する良い臭いがしてきた、
臭いが気になった老人は、荷物を係りの人に渡すと何気に裏庭に回ってみたのだという。そして、
そこで老人は信じられない光景を目にした。

948 3/3 sage 2011/05/17(火) 20:24:03.56 ID:4P2HcFDZ0
そこにあったのは、うずたかく積み上げられた死体と、嬉しそうにそれらを解体し調理する子供たち
の姿と、無表情に子供たちにあれこれと指示を出す地元の共産党員の姿だった。
死体の中には、老人のよく知っている医者の姿もあったらしい。
(実際にはかなり生々しく、具体的に“調理の様子”が語られたのですが、あまりにも酷い内容なのでカットします)

老人はその場を離れると、その場では何事も無かったかのように振る舞い学校から逃げ出した。
そして、人気の無いところに行くと胃液しかでなくなるまで吐き続けた。老人は今でもあの光景を夢に見て
夜中に目が覚めるのだという。
その夜、家に帰ると老人はなけなしの蓄えをかき集め、奥さんには殆ど事情も話さず夜逃げの準備をさせ、
その日の晩のうちに家族で町から逃げ出した。
その後、老人は仕事のツテや昔アメリカに移民した親戚などを頼り、貨物船の船長に賄賂を渡して密航し、
タイ経由でアメリカに移民したのだという。
そして、その後も共産党に怯えながらアメリカの田舎でひっそりと暮らしてきたらしい。

恐ろしい話だった。
文化大革命がかなり酷い事件だったとは知っていたが、ここまでとは知らなかった私は、老人の話を
ただただ聞くしかできなかった。
老人は最後にこう言った。
「当時人間を解体し食っていた子供たちは今どうなっていると思う?」と。
私が「わからないです」と答えた。すると老人は、その後ある程度外国との手紙のやり取りなどが自由になり、
中国に残っている知人などから聞いた話によるとと前置きし、「大半は紅衛兵となりその後地方へ追放された
らしいが、共産党に従順だった子供たちは出世を重ね、今は共産党の幹部になっている」そして、こういう事は
当時中国全土で起きていたらしいのだという。

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