Categories: 宗教

情熱の結果

この怖い話は約 2 分で読めます。

近所には交番がありまして、そこのお巡りさんは非常に
防犯に熱心な方のようで、防犯パトロールという活動をしています。
私の様なアパートの1人暮らしを中心に部屋を訪ねてくるのです。
偶然なのですが、夕方にお巡りさんがやってきたので今回の話をしました。
『近所でもそのような届け出は出ていませんが』と言いながら郵便受けを
確認しています。101号と102号にはしっかり例の冊子が有りました。
さすがに不在者の私物は押収出来ないので、私の他3人が棄てた冊子を
証拠として持ち帰ろうと、とり合えず私の物を『いいですか?』と言って
調べました。私自身、昨晩ちょっと見ただけで棄ててしまった物ですから
改めてお巡りさんとジックリ見てみました。
最後のページに写真が貼り付けてありました。若い女性が赤ちゃんを抱いて
笑っている写真です。『昨夜の人、この人ですか?』と聞かれました。
非常にきれいな女性で、歳も若くとても昨日の親子には見えません。
そう答えると『う~ん。新興宗教とかの手口ですかね。こういう若くてきれいな
女性が大勢居るって言いたいんだろうけど・・・』と言い、
『でも夜中に押し売りみたいな事しといて、こんな写真残したってねぇ』
と苦笑いしていました。
結局、二度とあの親子が現れる事はなく、お巡りさんも度々パトロールでお会い
する様になり(やっぱり警戒してくれてるんだなぁ)と変に安心したりするうちに
会社の転勤でそこを引っ越す事になったのです。

幸いこれといったその後の事件のような事には遭っていません。
しかし、一つだけこんな考えが今でも頭をよぎるのです。
「あの時の写真、お巡りさんが言ってた、客引きの為のニセモノ写真なのかなぁ」
あの写真は、彼女達のような信者が何もかも捨てて信仰に邁進した結果なのでは
ないだろうか、入信する前は本当にあの写真のような幸せな親子だったのでは
ないだろうか。
今でも全国各地をあの親子の様な変わり果てた姿になって、一心不乱に布教活動
している親子が居るのではないだろうか、と。

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