Categories: 時間・空間

思い出の古本屋

この怖い話は約 3 分で読めます。

895 本当にあった怖い名無し sage 2007/03/12(月) 21:31:55 ID:inxFaL0Z0
670 :668:2007/03/02(金) 04:10:27 ID:B27xsBTf0
まあとにかくそんな風に古本屋に通ってはマンガを買ってた小学生時代だったんだけど、
中学に入ってからは部活が忙しくて帰りが遅くなったりとか色々な理由で、
あんまり古本屋に行かなくなったんですよ。
駅からの途中にある最初の店はそれでもそれなりに寄ったりしてたんだけど、
二番目の店はちょっと出なきゃいけないってのも面倒だったし。
んで、高校になって今も住んでるところに引っ越したわけです。
不思議なのはここから。
高校になって受験勉強とかしてる時って、やっぱまあ色々辛いので、
小学生時代を懐かしんだりするよね?
で、思い出されるのはなぜかいつも二番目の店だったわけだ。
しまいには夢にまで見るようになってさ。
それで、とうとう、何年かぶりにあの店に行ってみよう、と思ったわけ。
駅からほんの数年前まで毎日通ってた道を懐かしんだりしながら家まで歩いて、
そこからあの店まで、歩きだと30分くらいかな?
ここをこう行って、ここで曲がって、そうそうここの家がでかい犬を飼ってて――
で、はたと立ち止まってしまったのよ。

896 本当にあった怖い名無し sage 2007/03/12(月) 21:32:44 ID:inxFaL0Z0
671 :668:2007/03/02(金) 04:11:20 ID:B27xsBTf0
(なんかもう想像ついてるだろうけど)
あの店が、というより、あの店まで行く道がない。
あとひとつ角を曲がれば、あのモール?の建物と向かいの古本屋があるはずなのに。
もう何度も確かめたよ。少し先まで行って曲がってみたり、いったん戻って行き直してみたり。
それでも、そこで曲がるはずの角がどうしても見つからない。
というか、T字路だったはずなのに、右の棒の部分の道がなくて逆L字になってるんだよね。
その日は夕方だったから間違えたのかも、と思って、次の日曜に行ってみたりしたけど、
やっぱりどうしても曲がり角は見つからなかった。
そんで、ふと気づいたんですよ。
俺は前述の通りマンガに対する執着がものすごく強かったから、
引越しの時もマンガは1冊も売ったり捨てたりしてないのね。
しかもそのどれも何度も何度も読んでるから、全部完璧に覚えてるのよ。
なのに、あの店で買ったマンガがどれだったか、全く思い出せない。
あんなに面白い面白いって読んだはずなのに、どんなマンガだったのかさっぱり覚えてないんだ。
なんかそれに気づいてからは、無理に探したりしない方がいいのかも、とか思うようになった。
よくわからないけどそっとしといた方がいいものなのかなって。

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