この怖い話は約 1 分で読めます。

その人は襖の向こうから挨拶をすると部屋に入ってきた。
この時になって皆が顔を見合わせて、その様子や顔付きから誰もこの女性に心当たりが無いことが想像された。

女性はと言えば小綺麗に身を纏めていて、卑しくはないそれなりな暮らしをしている事が見て取れた。
年の頃は六十代の半ばか。
伯父が改めて身元を尋ねれば、あろうことかその女性、母達の四人目の兄弟、いや年齢で言えば長女になる人だった。

その時の母は、女性の脇に置かれた紫色の風呂敷の包みの、その紫が妙に不吉に思われたそうだ。

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