この怖い話は約 3 分で読めます。

583 和解 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/20(火) 02:23:19 ID:LxBD1hJJ0
ママは俺に「あなたの悩みも解決するかもしれないから、他の仕事をキャンセルしてでも請けなさい」と言った。
初めから断るつもりはなかった。
ビジネスで成功しているママだが、ママは決して銭金の為だけに店をやっているのではない。
店の子や、彼女達と同じ悩みを持つ行き場のない子達の居場所を作るという、利他的な動機も大きいというのが周りの一致した見方だ。
強かな商売人だが、大きな「徳」を持ち合わせた人物なのだ。
俺はママの仕事を請け負った。

俺はママに指定されたある事務所を訪れた。
事務所に入り、そこに居た一人の女性に声を掛けた。
「済みません。橋本さんの紹介で伺った**と申します。星野さんはいらっしゃいますか?」
「私が星野です。少々お待ちいただけますか?」・・・彼女がアリサだった。
俺は応接室に通され、そこで出された珈琲を飲みながら待った。
・・・「彼女」が対象者か・・・少し俺は驚いていた。
ママから「凄く綺麗な子よ」と言われていたが予想以上だった。
透き通るような白い肌をした、ハーフっぽい文句なしの美女だった・・・

584 和解 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/20(火) 02:24:11 ID:LxBD1hJJ0
20分程でアリサが応接室に現われた。
どうやら仕事を切り上げて、事務所を閉めたようだ。
アリサが席に着くと、俺は詳しい事情を尋ねた。
アリサは言い難いであろうことも俺に包み隠さずに話した。
きょうこママへの信頼がそうさせるのだろう。
打ち合わせが終った時にはかなり遅い時間となっていた。
席を立とうとした俺にアリサは言った。
「**さんは信用できる方だと思います。最初、お目にかかった時からそれは判りました。
でも、失礼だとは思いますが、貴方が抱えている問題は私よりも辛くて大変だと思いますが・・・
お願いして大丈夫ですか?
ママに私から話して、他の大丈夫な方にお願いしても良いですよ?」
・・・この女、俺が魍魎に纏わり付かれていることが判るのか・・・
それに、この女も何かに纏わり付かれている感じがする・・・そのことも言っているのか?
「いや、大丈夫。是非請け負わせてください。
ママもこの仕事は私の為になると言っていました。
私も貴女を見てそう感じた。やります。任せて下さい」
その日から、俺はアリサのガードを始めた。

585 和解 ◆cmuuOjbHnQ sage New! 2007/11/20(火) 02:25:17 ID:LxBD1hJJ0
アリサに付き纏っていたストーカーの方は割りと簡単に捕まった。
二度と近付けないように徹底的に痛めつけるのが俺の流儀だ。
恐怖を植え付けなければその場凌ぎとなり、更にストーカー行為は悪質化する。
「朝鮮式」のヤキを入れられた男は、その後はトラウマから便所の「電球」を見ただけで恐怖に震える事だろう。
まあ、今回のストーカー男はそれでも運がいい。
アリサに危害を加えていたら・・・「電球」ではなく「ポッキー」や「プリッツ」を使っていただろう。
免許証を奪い、勤務先その他の個人情報を吐かせ、写真を撮り、誓約書と300万円の借用書を書かせた。
法的には意味のないものだが、もし、再びアリサの身の周りに姿を出したら借用書をヤクザに回し、ストーカー行為の事実を妻子と職場にばらすと脅した。
当分、まともに喋る事も出来ないであろう男は首をガクガク振りながら従った。

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