この怖い話は約 3 分で読めます。

410 本当にあった怖い名無し sage New! 2013/08/24(土) 22:45:12.02 ID:IoFDoXcaP
3.
彼らは湯を出て体を洗いはじめましたが、村田は長湯をしている男のことが気になっていたので、時折気づかれないようにチラチラと見ていたそうです。
良くは見えなかったものの、俯いていた男が突然顔を上げて、なんとなく目があったような気がしたそうです。
さりげなく目をそらし前を向いた時、自然と目に入った鏡に、じっと自分を見つめている男の顔が写っていたというのです。
横には田中がいます。村田は「うわっ」と悲鳴を上げてイスから転げ落ちました。
振り向いても誰もいません。湯船にはまだ男がいます。
気の毒そうに笑う田中に、小声で今の事を話しましたが、まさか、みたいな感じで最初は信じられなかったそうです。

気を落ち着かせ、村田がまだ頭を洗っていた時、田中の方は洗い終えて、再び湯船へ向かいました。
その時「おいっ、さっきの人いないぞ」田中の声が浴場に響き渡りました。
音も立てずに、二人に気づかれないように風呂から出られるわけがない。

二人の話というのはそこまででした。
特に村田が相当怖がっていましたが、私はごり押ししてせっかく泊めてもらったのに今更キャンセルもないだろうと思いました。
一応私が代表みたいな立場でしたし。

ですから「まぁ古い旅館だとそんな事もあるかもねぇ」みたいな感じで彼らに同調を見せながらも、今更・・・と話をしていた時、夕食が部屋に運ばれてきました。
賄いさんはまだ20台後半と思われる女性でした。7時にお願いしていましたので、その時間だったと思います。
そんな流れから、私達は食事の誘惑にはかなわず、風呂の一件は棚上げとなりました。
食事をしながら、村田は懸命に恐怖を力説していましたが、話しているうちに落ち着いてきたのか、終いには楽しい夕食になっていました。
私は内心、さっきの自分の方がよほど怖かったぞと思いましたが、それを話すとまた帰るとか言い出しそうだったので、止めました。

411 本当にあった怖い名無し sage New! 2013/08/24(土) 22:46:10.63 ID:IoFDoXcaP
4.
夕食は地の山菜と川魚が主で、大変美味しかったです。
私はどうしようか迷いましたが、汗をかいていましたのでお風呂に入ることにしました。
今考えると馬鹿な奴だと思いますが、私は「信じない人」でした。

脱衣室の様子から、誰もいない事がわかりました。
貸し切りだなと思いましたが、戸を開ける時は流石に少しびびりました。が、誰もいませんでした。
「そりゃそうだろぉ」と、私は誰はばかることなく大声を出して湯船へ向かい、貸し切りの湯を満喫していました。
両足をのばし、頭にタオル、目をつぶって放心状態でいた時です。
急に、誰かが私の足首をつかんだのです。ヌルっとしたとても嫌な感触でした。

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