この怖い話は約 3 分で読めます。

394 大豆 ◆KELPxxTiG. 2007/11/07(水) 01:55:06 ID:P3y9czHFO
友人の体験談です

当時彼は地元の商社に勤めるサラリーマンだったのですが
これはある夜、彼が一人会社に残り遅くまで仕事をしていた時の話

その日彼は珍しく時間も忘れ仕事に没頭していました
時刻は既に深夜に差し掛かろうとしていた
流石に遅いしもう帰るか、と彼はデスク周りを整理し
退社をする身支度を整えていたんですが
ふと気付くと、部屋の外の廊下から何やら足音が聞こえてきたんです
「コツコツ…コツ…コツ…」
足フェチの彼はとっさにそれがハイヒールの踵を踏み鳴らす音だと感じたそうです

それはゆっくりと、足音を響かせながら廊下を移動しています

「こんな時間に誰かな?」
時刻は深夜0時を少し過ぎた頃
会社には警備員などはおらず
小さな三階建てのビル内全フロアは会社のもので
社員は自分以外全て退社したはずです
仮に誰か残っていたにしても、今まで気付かなかったはずはありません
誰かが用事を足す為に訪ねたにしても時間的にかなり無理があります
しかも足音は何処かの部屋に入るでもなく、廊下を行ったり来たり
「何か気味が悪いな…」
少し恐怖を感じた彼は、デスクに置いた鞄に手を掛けたまま
じっと息を潜めていました

398 大豆 ◆KELPxxTiG. 2007/11/07(水) 02:20:12 ID:P3y9czHFO
数十分程経って、気付くと足音は聞こえなくなっていたそうです

ずっと耳を澄ませていたのに、不思議だ…
居なくなったのか?何処かの部屋に入ったか?下の階に行ったのか?

あれこれ考察するも、部屋の外の見えない光景に答えを求めることなど無意味だと悟り
また何より時間が時間です
流石に残業疲れもピークに達し、早々に帰って床に就きたいと思っていた彼は
意を決して廊下に出る為のドアを開けました

ガチャ…!!ニィィイ…

何のことはありませんでした
目の前には暗く不気味な静寂に包まれている以外は
いつも通りの見慣れた廊下が伸びているだけでした

彼の会社は古い三階建ての鉄筋ビルで、彼が居るフロアは三階
どの階も廊下の造りは同じエの字型をしていました
平行に並ぶ直線廊下を結ぶ廊下の先にはエレベーターがあり
そのエレベーターの対角線上には大きな窓が一つ付いていました

その唯一の窓から差し込む外の光がエレベーターに向かう彼の足元を薄暗く照らします

彼は自身の足元だけを見ながらエレベーターに向かい歩いていました

すると、彼の前に伸びる自身の影に、何者かの影が重なったのです

401 大豆 ◆KELPxxTiG. 2007/11/07(水) 02:44:01 ID:P3y9czHFO
彼は反射的に振り向きました

彼の目の前、数メートル先に女が立っていました

白いシャツに白いスカートを着ていて
頭と両手は脱力したようにうなだれ、長い黒髪が顔を覆い隠していました
それが「コツ…コツ…」と、ゆっくりとこちらに向かってきたそうです

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