この怖い話は約 3 分で読めます。

まさか、〇〇さん…?
異質な光景に、内心走ってエレベーターに駆け込みたい気持ちを抑え
変に驚いては失礼になるかもしれないと、律儀にも彼は問掛けました

「どうか…しましたか?」

女はその問掛けには答えませんでしたが
次の瞬間、数メートル先に居たはずの女は消えて居なくなったそうです

それは本当に一瞬で、彼は驚くと言うより
今何が起こったのかすら全く理解出来なかったそうです

すると「コツ…コツ…コツ…」
廊下の向こう側からまたあの足音が聞こえてきました

その瞬間、理解するよりも恐怖を先に感じた彼は
急いでエレベーターのボタンを押し、中に入ると
一階へのボタンを押し扉を閉めました

なんなんだよ…

403 大豆 ◆KELPxxTiG. 2007/11/07(水) 03:11:18 ID:P3y9czHFO
全フロアには自分以外誰も居ません。当然エレベーターはそのまま一階へ行くはず
なのに、エレベーターは何故か二階で止まったのです

おいぃぃ…!!

困惑と恐怖の連鎖で泣き出しそうになる彼に対し
目の前のエレベーターのドアは、あまりにも無慈悲にその口を開きました

目の前には上の階と同じように廊下が伸び、その先には大きな窓が付いています

大きな窓が
いや、違う…!!

彼は恐怖で声も出ず、全身の力が抜けたように床に腰を落としたそうです

大きな窓があるはずのそこには
大きな女の顔があったそうです

廊下の床から天井一面に薄気味笑いを浮かべた
白く大きな女の顔があったのです

やめてくれやめてくれ…
声も出ず、金縛りにあったように顔を背けることも出来ず
彼はその大きな女の顔を見ていました

エレベーターのドアが、ゆっくり閉まり始めます
すると、廊下の女が薄気味笑いを浮かべたまま
笑い声をあげて彼を見送ったそうです

そのままエレベーターは一階へ着き
ドアが開くとそこには玄関ロビーと外へ通じる扉がありました
彼は力の抜けた体を起こし、駆け足で扉に向かい外へ出ました

404 大豆 ◆KELPxxTiG. 2007/11/07(水) 03:14:01 ID:P3y9czHFO
それから一月後、彼はこのことをきっかけに会社を辞めたそうです
「引き継ぎの関係上仕方なかったけど本当は早く辞めたかった」
と彼は苦笑いして言ってました
あの女のことはそれっきりで、結局今でも何だったのか分からず仕舞いだそうです

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