この怖い話は約 3 分で読めます。

そして、それからしばらくたったころの話です。
夜中に目が覚め、ふと目をやると真っ暗なリビングの滑り台をスーと娘が滑っていました。
少し説明すると、我が家はリビングに併設している和室に布団を敷いて家族で寝ていて、リビングには子供用のジャングルジムと滑り台が一体化した遊具を置いています。

739 本当にあった怖い名無し sage New! 2013/05/02(木) 16:15:29.79 ID:JeNOOabH0
あまりにもびっくりして、声をかけずに、ぼっとその光景を眺めていました。
よくみると娘の隣に人影がみえます。
暗くて良く分からないのですが、大人のようです。
夫は隣で寝ています。
これがさっちゃんなんだと確信して、思わず娘に、
「こっちに来なさい」
と叫んでしまいました。
急に声をかけられ、びっくりした娘が、こちらに来ようとしましたが、その人影は、娘の手を掴むと暗闇の方に引っ張り始めました。
私は慌てて布団から飛び出ると娘を抱きかかえ、その人影の手を振り解きました。
しかし、振り解いても、振り解いても、掴まれるのです。
よく見ると、腕は一本だけではなく、5、6本あるようでした。
驚きすぎると、声が出せないようで、無言でその手と格闘しました。

後で考えると、すぐそばに夫がいたので助けを呼べたはずなのですが、全く念頭にありませんでした。
人影は、1つで顔をあげたらすぐそこにあったのですが、みてしまったら最後のような気がして顔をあげることができず、結局、さっちゃんの顔をみることはできませんでした。

ようやく、手を振り解いて、布団の方へ戻りました。
幸い、影は追いかけて来ず、暗闇に留まっていました。
1時間、ひょっとしたら10分くらいだったかもしれません。
ふっと、気配がなくなり影は消えてしまいました。
そうなって、やっと夫の存在を思い出し、叩き起しました。
夫は口には出しませんが、私達2人が寝ぼけていたと思っているようです。
私自身、ひょっとしたら夢だったのかもと思うこともあります。
ただ、娘も私も同時に寝ぼける事があるでしょうか?
あの腕の感触は、夢ではないはずです。

あれから、さっちゃんは娘の前には現れていないそうです。
なんとなく、もう、娘の前には現れないと確信しています。

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