この怖い話は約 3 分で読めます。

果たして周りにはなにも変化はなくHが
「ははは、やっぱこんなもんか・・・」
その時でした。
辺りの空気が変わったのが感覚で解りました。
さっきまで何ともなかった空間が急に重苦しくなり、言葉を発する事すらできません。
3人とも無言になり辺りが異質な静寂に包まれました。

見るとSが顔を真っ青にしながら手を4枚目の紙に伸ばしています。
指は文字を指し占め始めました。
『う ら み つ ら ぬ る も の を し め せ 』

次にHの顔が青ざめ自分の紙に指を這わせます。
『@ @ @ @ @ @(Oの名前)』
Hまでがおかしくなり私はこの場から逃げ出したくなりました。

しかし異変は私にも起こりました。
指が勝手に紙へ向かうのです。
そして紙の上で止まりました。
つまりは恨む相手を教えろという事なのでしょう。
『@ @ @ @ @ @』
自分の意思でOの名前を指しました。
正直ここまでの事が起こるとは思いませんでしたし、もしや本当にOに何か起こるかもしれない、そう思いましたがどうする事もできません。

そしてSの番が来ました。
Sの腕は中央の腕から自分の紙へ移り
『@ @ @ @ @ @』
こうして3人が3人ともOの名前を出しました。
もうこの後どうなるのか3人とも死んだような顔をしていたと思います。

するとまたSの腕が中央に向かいました。
『う ら み つ ら み し か と と ど け る 
 か わ り に く ち に の り を さ せ よ』

途端ビクンとSが震えました。
次の瞬間Sは猫に覆い被さります。
「ボシュッ」
そんな感じだったと思います。
Sは猫の首に喰らいつきました。
骨を砕き肉を喰らうSは正に鬼でした。
猫は目を飛び出しそうな程見開きましたが間もなく気味悪く痙攣し始めました。
そのままSは頭に口を移し猫の頭部を三分の一程喰らったと思います。(食事中の方すいません)
猫の頭から脳?らしき物がずり落ちていました。
Sの口は猫の血で真っ赤に染まっていました(恐らくこれが赤口さまの由来でしょう)
そこでSは正気に戻ったようです。
その場で嘔吐し猫の一部だった物はその場にでてきました。
Sはそこでうずくまりガタガタと震えていました。 私とHで無言のまま猫の死骸を片付けました。
あの時の嫌な匂いはしばらく忘れられませんでした。

どうにかSを落ち着かせ自宅に送りました。
一人家に残されたHはさぞSを恨んだでしょう。(猫の血だけはどうしても落ちず後で床を一部取り替えたそうです)

次の日、昨夜の嫌な事を思い出していた私は会社に行きさらに驚きました。
昨夜Oが車に引かれ死んだというのです。
しかも一度引かれた後に二代目の車にひかれ頭部は破砕。
即死だったとの事でした。
私とS、Hは罪悪感よりも恐怖に怯えました。
いい様のない恐怖でした。
私達は絶対に他言すまいとこの話を封印しました。

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