この怖い話は約 2 分で読めます。

その日の夜、深夜に何故か目を覚ましたMは鼻をくすぐる甘い匂いに気がついた。
昼間嗅いだあの匂いだ。
そう思ったMはベッドの横にある窓を見上げてしまった。
カーテンは何故か開いていた。
外にある庭の柿の木に男がぶら下がっていた。
異常に伸びた首と禿頭の壮年の男。
瞳のあるはずの場所は黒く陥没し、口や鼻からなにやら液体が流れ出ていた。
意識が飛び、気づいたら朝だった。
庭に出ると家の犬が犬小屋の奥で死んでいた。犬の目は赤く染まっていた。
Mはその家族同然の犬が自分の責任で死んでしまった気がして目を泣き腫らした。
そうしてふと、ああ、あの社長。犬を恨んでるんだ。
Mはそう思ったといっていた。

646 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/11/28(火) 03:31:36 ID:crqTqEJ20
甘い香り 5/5

後から知ったのだが知人に腐りかけの肉は甘い匂いがするのだと聞いたそうだ。
その後は庭の柿の木に男がぶら下がる事も
Mが犬を飼おうとすることも無かった。
それから二月ほど経ってMは故郷の地から出た。
今でもそれが続いているのかは知らない。
Mは二度と工場の前は通らなかった。
実家にもここ二~三年帰っていない。
それから幽霊の類は見ていないらしい。

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