この怖い話は約 3 分で読めます。

812 本当にあった怖い名無し 2008/05/07(水) 02:22:29 ID:Y3GMpuJgO
小学一年生の時T君というクラスメートがいました。
T君とは結局数ヶ月の付き合いで特別仲が良かったわけではなかったのですが、もう二十年も前のことでその頃のクラスメートの名前なんかも結構忘れてしまっているのに何故かT君の、その日の取るに足らないと思っていた出来事はずっと覚えていました。
僕の実家は10世帯にも満たない山あいの小さな集落にあり、地図にもちゃんとした別の地名があるのにも関わらず住人だけにはY村とそう呼ばれていました。
Y村は真ん中に一つ、村のはずれに一つ、集落から50mくらい離れた場所に一つ。3つの小さな墓地がありました。生まれた時から慣れ親しんできたその墓地、特に少し離れた場所にある周りに林や湖が広がる墓地は絶好の遊び場になっていました。
1980年代後半といえば空前のファミコンブームでしたが僕の周りにはそんな最高の遊び道具を持っている友達はまだ居らず
そのしばらく後にファミコンを買ってもらう前までは近所の住宅地に住む子と墓地の周りでかくれんぼや探検ごっこ、夏にはカブトムシ狩りをして遊ぶのが常でした。

813 本当にあった怖い名無し 2008/05/07(水) 02:23:21 ID:Y3GMpuJgO
その日は天気のいい秋の日の放課後だったと思います。その日も友達数人と墓地の周りで遊んでいました。T君は少し離れた団地に住んでいたのですが、その日は何故かそれまであまり遊んだことのないT君もそこにいました。
その日は何をして遊んだのか記憶が定かではありませんが、墓地の横には50cmくらいの小さな祠があり、僕は普段気にもしなかったものなんですが、T君がそこであるものを見つけてきたんです。
それは木でできた四角い箱のようなものでした。手のひらに乗るような小さなサイズのもの。
T君以外は誰もその箱に興味を示していなかったと思います。ですがそれがいたく気に入った様子のT君は
「これオレのだよ!」
そう言ってその箱を家に持って帰りました。
その時のT君の表情や口調、周りに広がる風景は今でもはっきりと覚えています。

次の日。いつものように学校に登校しました。げた箱で靴を履き替えているとクラスメートが廊下を走り回っています。
「Tが死んだ。」
そう言いながら。
うそだろ?
そう思いながら教室に入るとT君の机には花が置かれ、黒板には追悼の言葉が書いてありました。

814 本当にあった怖い名無し 2008/05/07(水) 02:24:21 ID:Y3GMpuJgO
家族が寝ている間、ガスの元栓の閉め忘れによるガス中毒だったそうです。T君は両親と一つ上のお兄さんとの4人家族で、お母さん、小学二年生のお兄さんも亡くなったそうです。
授業中にTV局の人が来ました。僕を含めクラスメートの何人かがインタビューを受けました。
次の休みの日に三人の葬式がありクラスメート全員が参列しました。T君のお母さん、お兄さん、そしてT君の運動会の時の写真が飾られていて、そこには一人残されたT君のお父さんの姿がありました。僕は大人の男の人が泣いているのをその時初めて見ました。

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bronco

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