この怖い話は約 3 分で読めます。

656 4/10 sage New! 2013/11/24(日) 23:45:17.61 ID:zUKnxq1Si
でも、その晩、婆さんが寝たあと、親父が俺の部屋にきた。
「昼間のあの人形な。戻したのは俺だ。
だけど、落としてはない。お前、本当に嘘は吐いていないか?」
親父の話によると、俺が大きな音を立てながら仏間を出てくるのを見て、どうしたのかと仏間を覗いたら千寿江が落ちてたのを発見。
見つかるとまずいから、そっと直したという話だった。

ただ、おかしかったのは、手首なんて取れてないと親父が言ったことだ。
どうやって落ちて、どうやって手首がくっついたのか。
俺は怖くて、御神酒上げる係をサボるようになった。
御神酒持って出て、客間で2.3分待って、それから居間へ戻る。
多分、半年くらい御神酒を上げてなかったんだけどな、
その頃、妹が死んだ。小学校、入って間も無くだ。

657 5/10 sage New! 2013/11/24(日) 23:46:04.51 ID:zUKnxq1Si
死因は原因不明の高熱。
突然ガーッて熱が上がって、入院して、それっきり。
俺はもしかしたら、俺が御神酒サボってるせいじゃないかって思って、
でも親にも婆さんにも言えなかった。罪悪感とか、そんなん。
妹が死んだのは俺のせいだって思った。
母親は、妹が死んだのは、千寿江のせいだって言い始めた。
話を聞くと、妹は今際の際に「ちぃちゃーん」と泣いたらしい。
ちぃちゃんなんて友達は妹にいなかったし、思い当たる事があれば、あの怪しげな人形。
俺が過去騒いだせいかも知れないけど、母親も過敏になって、人形を捨てる!
と言い出して、妹の葬儀中に大喧嘩した。

この一件から、うちの両親は不仲になって、母親は実家へ帰った。
親父は黙々と仕事をして、婆さんは千寿江を抱きながら毎晩泣いた。
親父仕事から帰って来ないし、婆さんは泣いてばかりだし、この辺りから、俺が家事をするようになった。

658 6/10 sage New! 2013/11/24(日) 23:46:56.03 ID:zUKnxq1Si
次に婆さんの呆けが始まった。今思えば当然だ。
飯を食うか、部屋に篭って人形抱きながらぼーっとして、泣いて、泣き疲れたら寝て。
ご飯だよ、って呼びに行ったら、何か食ってんの。
何食ってんの?って聞いたら、ご飯って言う。はあ?と思いながら、
婆さんの顔見たら、金色の糸が口から出てんだよ。
そんで、手元には半分剥げた千寿江。
俺はこの時が一番怖かったとおもう。
急いで婆さんから吐き出させた。

母親に相談しても、あんな人知らないの一点張り。
父親に話して、病院にって言っても、仕事が忙しいから連れていけない。お前が面倒みろ、と。
そればっかりだった。その時、俺まだ厨房。でもな、妹がしんでから、
うちの家族、おかしくなっちゃったんだ。
御神酒やってなかった俺のせいだと思うと…やらざるをえなかった。
中学は不登校になってたよ。

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