この怖い話は約 3 分で読めます。

424 1/7 sage New! 2007/11/30(金) 15:24:41 ID:GednxxFq0
祖父母が健在だったころ、私の田舎には大きな持ち家がありました。
母屋と離れの二棟から成るその家、特に物置として放置されていた離れは
当時、小学生の私にとって格好の遊び場所となっていました。

田舎に帰省した時には、隣の子と一緒に離れで「かくれんぼ」をする
その度に祖母にたしなめられたものですが、その意味を深く考えることはありませんでした。

その日、途中でかくれんぼを切り上げ、外に遊びに行こうとした私と隣家の子を、祖父が呼び止めました
言いつけを聞かない悪ガキにも、祖父は決して怒ることはなく
私と隣家の子にお菓子をくれ、「離れ」にまつわるちょっとした怪談を聞かせてくれました
とりたてて怖い話ではないかもしれませんが、今日はその話について書いてみます。
426 2/7 sage New! 2007/11/30(金) 15:26:22 ID:GednxxFq0

その家は祖父の家系代々の持ち物で、祖父もそこで生まれ、そこで育った人でした。
家にはちょっと変わった決まり事があり、それは

“離れの二階、東の部屋には入らないこと”

というものでした。
理由は語らず、かたくなに忌諱する。田舎にはそういう「理由の分からない」習わしがいくつか残っていました。

そんな決まりはあるものの、家には物が多いためか離れには倉庫としての需要が多く、
いつでも家の者が出入りできるようにと、鍵は分かり易い場所に掛けてあったそうです。

428 3/7 sage New! 2007/11/30(金) 15:28:19 ID:GednxxFq0

「ソレ」が起こった当時、祖父は私と同じぐらいの年頃の少年でした。
家の者が出払ったある日、祖父は歳二つ上の兄と自分の友達の3人で遊び、離れで「かくれんぼ」をしました

いんじゃん(ジャンケン)で負けた友達が鬼になり、祖父と兄が隠れる役。
鬼は母屋で百を数えて、数え終わったら離れを探す。
遠く、母屋の外壁に伏せた鬼が、「いーち、にいー」と元気に読み上げる声がする。

離れはどの部屋も荷物が積まれ、なかなか隠れ甲斐のある場所が多い。
一階の奥の部屋に隠れる、と言った祖父に対し、兄は「じゃあ俺はあの部屋に隠れる」と言い出しました。

家に遊びに来ることの多い、仲良い幾人かの友達は、「離れの二階の部屋」の話を知っています。
余所様の家で「入ってはいけない場所」は、隠れるためにこれほど都合の良い場所はないでしょう。

「それはだめだよ」とたしなめますが、体格も良くケンカの強い兄には、祖父の制止も逆効果でした
急いで階段を上る音が聞こえ、少し間が空いて、
祖父の隠れた部屋から真上にあたる「あの部屋」に踏み込む足音が聞こえました。

上の部屋、奥の方で「カタ、コトン」と少し硬い音。それは押入を開けた音か、何か荷物を動かした音か。

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