Categories: 師匠シリーズ

東山ホテル

この怖い話は約 2 分で読めます。

広くなっている1階のロビーあたりで皆は固まっていた。
俺が着いたときに、ふっ、と電話は止った。

603 名前:東山ホテル 5/6 投稿日:03/04/30 12:25
「もう帰る」
と泣いてる子がいて、気まずかった。
男たちも青い顔をしている。
その時一番年長の先輩が口を開いた。
俺のオカルト道の師匠だ。
「ゴメンゴメン。ほんとにゴメン」
そういいながらポケットから携帯電話を取り出した。
「こんなに驚くとは思わなかったから、ゴメンね」
曰く、驚かそうとして昼間に携帯を一台3階に仕込んでおいたらしい。
それで頃合をみはからってこっそりそっちの携帯に電話したと。
アフォか! やりすぎだっつーの。
もうしらけてしまったので、そこで撤退になった。

帰りしな師匠が言う。
「あそこ洒落にならないね」
洒落にならんのはアンタだと言いそうになったが師匠は続けた。

604 名前:東山ホテル 6/6 投稿日:03/04/30 12:26
「僕たちが慰霊塔見てる時、ホテルの窓に人がいたでしょ」
見てない。あの時ホテルのほうを見るなんて考えもしない。
「夏だからDQNかと思ったけど、中に入ったら明らかに違った。
 10人じゃきかないくらい居た。上の方の階」
「居たって・・・」
「ネタのためにケータイもう一個買うほどの金あると思う?」
そこで俺アワアワ状態。

「あれはホテルの電話。音聞いたでしょ。じりりりりり」
たしかに。
みんなを送って行ったあと、師匠がとんでもないことを言う。
「じゃ、戻ろうかホテル」
俺は勘弁してくれと泣きつき、解放された。
しかし師匠は結局一人でいったみたいだった。

後日どうなったか聞いてみると、ウソか本当かわからない表情で
「また電話が掛かってきてね。出ても受話器からジリリリリリリ。
 根性なしが!! って一喝したらホテル中のが鳴り出した。
 ヤバイと思って逃げた」

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