この怖い話は約 3 分で読めます。

ぼんやりと図書室に向かっていると、ちょうど出てきたK君と鉢合わせました。
その時になってふつふつと怒りがわき、私はK君に八つ当たりするべく腕を引っつかんで無理矢理校舎のはずれに連れていきました。
そこで「お前のせいじゃないけどお前のせいだ!」といちゃもんつけまくりました。
ところがK君は淡々と「意味が分からないけど一応聞いてやるから順番に話せよ」と言い返してきました。
あまりの平常ぶりと上から目線に怒りが振り切れた私は、泣きながら詳細を話しました。
するとK君は「なんでさっさと言いに来ないんだ」と青ざめながらアホな私にいくつか教えてくれました。

321 319続きここまで 2007/07/16(月) 17:31:59 ID:o4eVD6FgO
あの日、K君も背中に”手”の感触を感じていたらしいんです。
ギュッと制服をにぎりしめるたくさんの”手”の感触。
文句を言おうと振り向いた瞬間に手は離れ、それらしい人物が見当たらなかったこと。
違和感があったけどその時は気付かなかったこと。
落書きを見つけてからあの”手”が犯人と思ったけど違ったこと。
私の話は自分の体験と重なるけど、周囲の発言や状況に矛盾していること……。

あの時は確かにぎゅうぎゅうになっていたけれど、K君一人に何人もが両手でしがみつけるようなスペースはなかったんです。
やろうと思えばやれたかもしれませんが、無理な体勢になるのでかなり目立ったはずです。
私は言われてやっと気付きました。
K君の背中側で密着していた二人はペンを持っていたし、そのさらに後ろとなると容易に手の届かない距離です。
“手”だけ、それも両手が見えているのはおかしいんです。

気付いてしまうと一気に怖くなりました。
校舎のはずれの薄暗い雰囲気にも煽られ、何か言いかけたK君を置き去りにして走って逃げました。
K君はしばらくすると追い付いてきました。
私は置き去りにしたことを謝ろうと思ったのですがK君が走りながら
「 今 つ か ま れ た ! 」
と叫んだのでまた我を忘れて走りました。
階段で二人並んだ時、私のスカートに何か引っ掛かるような感覚があり、完全にパニックになりました。
勢いよく校舎を駆け抜け、グラウンドで遊んでいた友人達に合流して助けを求めました。
途中で捨ててきてしまった荷物を全員で取りに行ったのですが何も起こりませんでした。

その話はちょっとした噂になり、私達はしばらくビクビクしながら過ごしました。
けれど結局それ以降は何事もありませんでした。
私が転校してしまったので知らないだけかもしれませんが。

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Tags: 図書室

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