この怖い話は約 3 分で読めます。

次の日、朝早くに電話があって、学校来れる? と。10時から地元サッカークラブの試合があるから手伝いに来てとのことですが、絶対それ口実だよな、と思いました。
で、学校についてみれば昨日の2人。ああー、と予想してても嫌なもんです。
案の定校庭には出ず職員室へまっしぐら。すると教頭先生が。
「ああ、○○先生、すみませんね」
「いや、いいんですけど」 ?な私。
「おーい、ちょっとこっち」と主任が誰かを呼ぶ。出てきたのは男の子。3年生くらいと思うのですが、見かけない顔です。
あ、と。ピンときました。
「主任、この子昨日の」
「そうなんです」

なんだ、幽霊じゃなかったのか。
でも…。

491 教員 sage New! 2006/12/03(日) 02:33:05 ID:E8FXz0B/0
「うあー、おーー、だーっ!」
飛び出る奇声。

心臓止まるかと思うくらい大きな声で私を指差します。
おいおい、なんだよこれ。
「この子はね、特殊学級の子なんですよ」
「そう。今4年生かな。うまくしゃべれないって言うかね、まあこういう子なんだ」
「それで、昨日はね、宿直室にいたってわけ」
「親御さんがね、夜の仕事だって言うから預かってて」
聞きもしないのにべらべらと話す人たち。
それを見上げてアーアーと言う子供。
なんだか、すごく気分が悪くなってきたんです。

でも、それはおかしい。
子供を預かっているのならなぜ何も言わない?
なぜ電灯を消す?
なぜ、昨日はほったらかしにした?

492 教員 sage New! 2006/12/03(日) 02:40:09 ID:E8FXz0B/0

「まあ、そういうわけだから、理解してやってくれな」
できるか。
とは言え相手が教頭先生では「ははあ、仰せのままに」と引き下がるしかないです。
男の子はどこかへ行ってしまい(多分サッカーの応援に行った)、じゃあ我々もと主任と6年の先生とで職員室に戻りました。

「先生、コレはどう考えてもまずいですよ。他の先生は知っているんですか?」
「うん…一部は知らない先生もいるけど。それよりさ」
声をひそめる主任。
6年生の先生は校庭へ。
またしても2人だけ。
にぎやかな校庭。
「昨日、ほっておいたのはね、あの子のためでもあるんだ」
はあ? 何だそれ。
「ご両親は夜の仕事ってのは本当。それから、電灯つけないのはあの子が落ち着くから。明るいと騒ぐんだ」
「でも、だからって。学校監督上問題あるでしょう」
「帰れなくなるんだ」
「へ?」

493 教員 sage New! 2006/12/03(日) 02:52:12 ID:E8FXz0B/0
「夜はずっとあそこにいるんだ。日付が変わる頃、親御さんから電話が入る。用務員さんが門を開けて、送り出す」
「でもね、その間ずっと1人なわけだよ。寂しいかどうかまでは分からんけど、誰かが来たらかまってかまってとうるさくなる」
「結果的にその人にくっつきぱなしで、家に戻ろうとしなくなる」
「だから帰れなくなる、と言ったんだ。まあ君は勘違いしていたみたいだが」

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