この怖い話は約 3 分で読めます。
「・・・顔があった」
と言った。
その言葉を聞いたCさんが凄い怖い顔をしながら
「Bちゃん!!」
と叫んだ。
あの顔はたぶん一生忘れられない。
怖かった・・・
顔とか言われて何が何だかわからないし、ちょうど男女が揉めて騒いでる中だったせいもあって誰も聞いてなかったようだが、CさんのBさんを一喝する声のせいで全員が静まった。
「顔ってなに?」
誰かが聞いたけど、BさんもCさんも二人でボソボソと言い合いをするだけになって返答はこなかった。
二人とも元々微妙に人と接しないような性格をしてて、二人だけの世界を共有してるような雰囲気がいつもあったので、これ以上二人に触ってもしょうがないということになりそのまま流すことにした。
とりあえずA先生を心配している女子と好奇心強めな俺と男子数人で、保健室まで見舞いにいくことになった。
A先生は保健室にはいなかった・・・
保健の先生曰く、足の怪我が酷くてここでは応急手当しかできないので、病院まで搬送してもらったと言う。
子供ながらに俺たちは不信に思った。
A先生は2日後に学校に戻ってきた。
ちょっと話を前に戻す。
A先生が戻ってくる前の話だ。
学校では放課後になればプールが自由解放されていたがA先生が溺れた日の後は、学校側が調査のためだとかいう理由で解放されなかった。
しかし、俺や溝から先生を助けたクラスメートで『本当に溝はあったのか?』という好奇心を抑えきれず、放課後にちょっと忍び込むことにした。
プールのフェンス自体はそんなに高いもんじゃないので簡単に乗り越えられた。
中に入ると、プールの水は全て抜かれていた。
溝は・・・
なかった。
話をA先生が戻ってきた日に戻す。
A先生はおかしくなっていた。
はっきりとではないが顔も違う感じになっていて、前の印象はなかった。
ソレは日に日に状態が悪くなっていった。
色々変な行動があったが一番印象に残ってるものは、給食運搬用の台をリアカーのように押しながら俺の教室の前で止まり、BさんとCさんに目を向けて手招きしていた。
無表情でだ。
担任の先生が苦い顔をしながら教室を出て行き、A先生をどこかに連れて行っていた。
六年生の水泳授業の時に、A先生が俺たちの授業の時のように見学にやってきたらしい。
前科もあるのでA先生は、他の先生にプールに入るのは堅く止められたらしい。
その日のA先生はおとなしく座っていたらしかったが、溺れてからおかしくなったA先生にフザけてちょっかいをかけようと、六年の男子生徒が
「せんせー。溺れた場所ってあそこー?」
とか聞きながらA先生に近寄ったら、A先生の足にはとうもろこしを押し付けたような後がいっぱいついていたそうだ。
ちなみに、A先生はその場でニコニコしてるだけで何も言わなかったらしい。
その話を1年違いの兄弟がいるクラスの誰かが聞きつけて、うちのクラスでは瞬く間に噂になっていった。
足を小さな子供の霊に捕まれた跡だとか、溝が異次元と繋がっててそこに行った証だとか。
話が広まりまくって担任の耳にでも入ったのか担任が