この怖い話は約 2 分で読めます。

流石に怖くなって、帰り道は誰も何も言わなかったんだけど
消防学校の門の明かりが見えたときに、ひとりがぼそ、って。
「なぁ、今日って8月の何日だ?」
「12日だろう。あ、日付変わったから13日だ」
「じゃ、旧盆じゃないか」
そのあとは恐ろしくて、食堂で男5人、念仏のようなものを唱えて朝まで過ごしていました。

8月13日、月遅れの盆入り。ちょうどそんな日に、川辺にたっていたたくさんの子供たち。
今でも、あの正気のない顔は頭から離れません。

朝になってやってきた教官にそのことを話したところ
「あぁ、お前らも見たのか」と笑ってからこう付け加えました。
「あの子供の数増やしたくなきゃ、水難救助(訓練)、ちゃんとやっておけよ」と。

今やコンクリートで護岸された川岸で、明るいあの場所に今も彼らが立っているかはわかりません。
ですが、時々、消防学校に教えに行くときはこの話をして見せます。
今思えば、消防学校の学生だからこそ、彼らが見えたのかもしれません。

Page: 1 2

bronco

Share
Published by
bronco
Tags: 自転車

Recent Posts

迷い

霊とかとは全然関係ない話なんだ…

4年 ago

血雪

全国的にずいぶん雪がふったね。…

4年 ago

母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明…

4年 ago

閉じ込められる

彼はエレベーターの管理、修理を…

4年 ago

彼女からの電話

もう4年くらい経つのかな・・・…

4年 ago

テープレコーダー

ある男が一人で登山に出かけたま…

4年 ago