この怖い話は約 3 分で読めます。

617 本当にあった怖い名無し 2009/11/24(火) 00:11:08 ID:EqIbNL3V0
それから数日後、と言うかつい10日ほど前、俺はショウ君とミツ君と連れ立ってケンちゃんの家に
行った。表向きは旧交をしのんで、しかし実際はこの話にすっきり決着をつけるために。3人揃って
上手な嘘がつけない性格なせいで、ケンちゃん母に考えてることをそのまま説明した。ケンちゃんが
おかしくなった日のこと、そして絵のこと。もし、その時の絵が残ってるなら見せて欲しい、と頼んだ。
一般常識に照らし合わせればとてつもなく迷惑な話だと思ったのだが、ケンちゃん母は快く協力して
くれた。ケンちゃん母は几帳面に遺品をとって置いたらしく、一つ一つ説明を交えながら年代を
さかのぼっていく。絵を描く類の仕事で自立しようと考えていたそうだが、素人の俺が見ても稚拙な絵で
客商売でお金がとれるものではなかった。俺が上手いと感じていた車の絵ですら落書きに色をつけていた
だけの物に感じた。しかしだな、年代が遡るほど、つまり子供の頃の絵ほど雰囲気が違うんだよ。構図は
立体的じゃなくて、真横だったり正面だったりするんだけど、どこか写実的な感じがあって、ふらふら
した線ですら技術の一つとして意図的にやっているのではと感じさせるほどだった。
「「「 あ 」」」
ある一枚で3人同時に息を呑んだ、白い車、真正面の少し上から見下ろした感じ、描きかけだったけど
これがあの絵だということはすぐに分かった。ケンちゃん母も説明を止めた。他の絵との決定的とも
言える相違点…、人が乗っていた、運転席と助手席に二人。顔は描かれていないが髪形から運転してる
のは男、助手席は女だと分かる。もっと言うなら、あの雑木林に捨てられていたはずの廃車が道路を
走行していた。

618 本当にあった怖い名無し 2009/11/24(火) 00:13:20 ID:EqIbNL3V0
………、気まずい空気を察知したケンちゃん母が「息子の話を長々と…」と切り上げてくれた。
挨拶をして帰途に就く俺ら三人、まずいものを見てしまった感を打破するために(?)、俺は一つの
仮説を二人に話した。
良くユミコとドライブごっこをしてた、ケンちゃんは実はユミコが好きだった、廃車の中で俺といちゃつく
ユミコの姿を思い出し、好きな車とユミコを両方取られた気持ちになって発狂した、と。
「じゃあ『白いお化け』ってなんなんだ?」
「…、精子だ」
「………、ダハハハハハハハハハハハハ!!」
とっさに出た冗談だったけど二人が爆笑してくれたおかげで気持ちが緩んだ。
今日に至るまで、とりあえず何も起きてはいない、しかし何というか、色々と俺が関わってしまいそうな
話なので気が休まらないのも事実です。謎と言うか、何故?な部分も多すぎるし。
あの絵の人物は俺なのでしょうか?

Page: 1 2 3

bronco

Recent Posts

祖父の遺品

3年前くらいなんだけど、半ボケ…

4年 ago

三つの選択・ひとつ作り話をするよ

いつものように僕の部屋に集まる…

4年 ago

白い傘と白い服

友人と遊んだ後、雨降ってるし時…

4年 ago

着信

俺が住んでる地元であった本当の…

5年 ago