この怖い話は約 3 分で読めます。

怖い話があるので書きます
事の発端は夢からでした

青みがかった黒髪の日本人形が夢に出てくるのです
夢の中の人形はただオレと見つめあっているだけで、一体何を意味しているのかさっぱりわからない
一週間毎日続き、ほとほと悩んでいた頃、夢に変化があった
人形がなにか語りかけてきた

しかし、意味のあるような言葉には思えず、オレには通じなかった
しかし、何度か同じ夢を見るうちに気がついた
どうやら数字を言っている
十桁の数字
オレは目が覚めるとすぐにその数字をメモに書き留めた
よくよく見てみると電話番号のような気がする
頭三桁はオレの住む地域の市外局番と一致する

しかし、当然のことながらとても電話をかける気にはなれず、なにもすることはなかった
しかし夢は相変わらず続き、人形は数字をオレに伝え続ける
人形の夢を初めて見てから二週間、一念発起したオレは電話をかけてみることにした

なにか夢に関するヒントが得られれば、という思いからの行動だったが、
同時に何か不吉なことがあるのでは、という恐れは頭から離れなかった

とりあえず番号を検索してみると、あっさりヒットした
県内のある居酒屋のようだった
家からそう遠いわけでもない
オレは週末その店に行ってみることにした

570: 本当にあった怖い名無し:2011/06/21(火) 22:04:45.67 ID:g26ky4bm0
友人二人を連れ立って電車と徒歩で一時間、小さな町の居酒屋だった
看板にある電話番号はあの数字と一致する
店に入るとまだ早い時間だからか、客はオレたちだけ
酒もそこそこに店主に夢の話をしてみた

店主は心当たりがないようだったが、カウンター越しに聞き耳をたてていた
女将が詳しい話を聞かせてくれと言ってきた
話を一通り聞かせると、女将はおそらく家にある人形じゃないか、
越してきてからずいぶんになるが、しまいこんだままだった、ちょっと探してくるね、と店の奥に消えた

しばらくして、女将はすすけたクリアケースにしまわれた日本人形を持ってきた
一目でわかった

夢のあの人形だった

女将によると、この人形は女将父が生前従妹から譲り受けたもので、
詳しくはわからないが非常に貴重なものであるとのことだった
もとの持ち主の従妹は金に汚く、変わり者で、親戚付き合いは何年も前に絶ってしまっているとか
女将としばらく話し込み、もしかしたらということもあるからと、
その従妹に連絡を取ってみるよう勧め、女将もそれに同意した

夢はしばらく続いたが、ある日を境にぱったりと見なくなった
人形にまつわるあの一族のなかで、何かしらが解決したような予感がし、肩の荷が降りるようだった

しかし、程なくして女将から連絡があった
女将は従妹を探し、人形を返すことができたらしい
従妹は病に伏せり寝たきりだったが、息子夫婦の家に引き取られ暮らしていた
人形を見ると、とても懐かしがり喜んだ
従妹の故郷の数少ない思い出の品だったようだ
涙を流して女将に礼を述べたという

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