この怖い話は約 3 分で読めます。

346 : 動物たちの試練7 : 2012/06/04(月) 22:40:46.22 ID:/DXG8eQp0
背中に悪寒が走ったが、少し考えて
「もしかしたら、まだこの旧道が盛んに使われていたときに
車にはねられたり轢かれたりして死んだ動物たちの霊なのかもしれない」と思った。
無音の中雪が降り続けている、というなにやら感慨深い状況のせいもあったのだろうが、恐ろしさは少しずつ引いていった。
雪が積もり、次第に消えていく足跡を見て、俺は思わず手を合わせた。

349 : 動物たちの試練8 : 2012/06/04(月) 22:42:50.65 ID:/DXG8eQp0
俺が走ってこなければ静かにしていたであろう霊たちに、一応謝罪の意味も込めてだ。
そして、早く立ち去ろうと思い目を開けたとき、
それまでの神妙な気持ちが吹き飛び一気に血の気が引いた。

「車に一番近い足跡が、一向に消えない」

351 : 動物たちの試練9 : 2012/06/04(月) 22:46:44.03 ID:/DXG8eQp0
それが目に入ったとき、確信した。「連中は、まだここにいる!」。
もう無理だった。俺は急いで車に飛び乗り、エンジンをかけ出発した。
スピードを上げて1分1秒でも早く旧道を抜けたいが、スピードは出せない。
絶対に出してはいけない。

352 : 動物たちの試練10 : 2012/06/04(月) 22:48:50.22 ID:/DXG8eQp0
俺には確信があった。

「絶対に、また動物が飛び出してくる」

原因はあのシカだ。
普通のスピードで走っていたら、間違いなく接触事故を起こしていた。
もしあのシカをはねていたら、どうなっていたのか。
そんなこと分かりきっている。

354 : 動物たちの試練11 : 2012/06/04(月) 22:51:51.75 ID:/DXG8eQp0
後ろから付いてきている連中が、間違いなく俺に襲い掛かってくる。
「お前はまた仲間の命を奪うのか」と。
連中は、俺が動物を殺さないか見張っているのだ。
いや、試しているのだ。

俺の予想通り、車の行く手にはどんどん動物が飛び出してきた。
キツネやウサギなどは車内からはよく見えなかったが、
シカはみんなこっちを見ながら飛び出してきた。

356 : 動物たちの試練12 : 2012/06/04(月) 22:54:43.06 ID:/DXG8eQp0
どれだけのカーブを曲がり、動物が飛び出してきたか分からない。
周囲全てから動物たちに追い立てられている感覚に必死に抗い、
やっと新道との合流地点が見えた。
飛び出してくる動物をよけ続けた俺は既に疲労困憊で、
新道に合流する直前で車を止めた。新道には、数台の車が往来している。
ようやく動物たちの試練から開放された、と俺は大きく息をついた。

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