この怖い話は約 4 分で読めます。

マサさんの話では、「内」の傷が治っても「外」の傷はそのままでは治らない。
そのまま放置すると「井戸」の影響で「外」の傷から「内」を侵されてしまう。
傷は早急に治さなければならない。
マサさんは家の表に出て一斗缶の中に火を起し、鉄の中華鍋のようなものを炙り始めた。
やがて鍋が焼け、鉄の焼ける独特なにおいがしてくると、鍋の中に白い粉末を入れた。
石臼で擦った「塩」らしい。それを一斗缶の火が消えるまで何かを唱えながら混ぜ続けた。
火が消えると黄色い粉末を一つまみ塩に振りかけた。「硫黄」だという。
鍋を缶から下ろすとペットボトルに入った水を鍋の中に注いだ。
塩の量が多くて全然溶け切っていなかった。
マサさんは俺達に服を脱げと言った。
猛烈に嫌な予感がした。そして、予感は的中した。
マサさんは、手で掬った「塩」を俺達の傷に塗りつけ、物凄い力で擦りつけた。
湿って乾き切っていない瘡蓋とも膿みの塊ともつかないものが剥がし取られた。
酷くしみる。焼けるようだ。
傷の数も面積も大きいPは目を真っ赤にして声も出せないようだ。
マサさんは鉄鍋の中身がなくなるまで交互に擦りこみ続けた。
その晩はひりひりと痛んで眠る事も出来なかったが、あれほど治らなかった傷は3日ほどで瘡蓋が張り、
更に1週間ほどで綺麗に治ってしまった。

588 傷(3) ◆cmuuOjbHnQ sage 2007/03/12(月) 03:53:53 ID:WgOItSsC0

マサさんの話によると、死霊や自縛霊といったものは、鉄杭で七方の地脈を絶って、
一方向を開けて、霊格や神格の高い神社仏閣との間の地脈を開いて繋げる事で、
1年ほどで浄化されてしまうらしい。
浄化された土地に、お寺から貰ってきた護摩や線香の灰や神社から貰ってきた水を撒いて
鉄杭を抜けば「普通の」土地になるらしい。
呪詛には呪詛返しの方法があり、生霊は、祟っている方か祟られている方のいずれかが死ねば
それまで(…なんだかな~)。
色々方法があるらしいが、人形などの身代わりと火を使う方法が良く使われるのだという。
この辺りは日本も朝鮮もやり方は大差ないらしい。
元々、日本の神道の形式と朝鮮の呪術や儀式の形式は良く似たもの多いのだそうだ。
故に日本の祈祷師や拝み屋と朝鮮のそれは素人目には区別がつかないことも多いのだという。
俺にはどちらも良く判らないのだが。
生霊が「場所」に憑くというのは比較的、珍しいらしいのだけれども、
多くの場合は上記の自縛霊に用いた方法と人形を用いた方法の合わせ技で浄化できるのだそうだ。

589 傷(3) ◆cmuuOjbHnQ sage 2007/03/12(月) 03:57:04 ID:WgOItSsC0

いずれにしても、これらはマサさんの仕事の範疇ではないらしい。
マサさんが扱うのは、儀式を踏まないで神社や祠を破壊して「神」を怒らせてしまったり、
盗まれてきた神社の「御神体」や寺の「ご本尊」を知らずに買ってしまって、
「一族」が根絶やしにされるような祟りを受けた場合だそうだ。
話を聞いた時「そんな罰当たりな真似をする奴がいるのか?」と聞いたら、
朝鮮人には神社仏閣に盗みに入って盗品を売り捌いたり、神社や祠に火を放ったり破壊したりする輩が
今でも少なからずいるそうだ。
自分の中に「神」を持たない故に、他人や他民族の宗教や信仰に対する配慮や、
その対象に対する「畏れ」に著しく欠けているのだと言う。
「畏れ」のあるなしに関わらず、そんな真似をすれば日本人でも地獄行き確実で救い様がないけれど、
先日書いたように高位の「神」の助力が得られない朝鮮人の場合は更に深刻で、
一族全てが祟られて絶えてしまう危険があるらしい。

Page: 1 2 3 4 5 6 7 8

bronco

Recent Posts

とある民家

1俺が仕事で経験した話をレスし…

5年 ago

奇行

2年前まで大学生してた時の話。…

5年 ago

暗がりの子供

友人の話。  数人で…

5年 ago

祖父と犬

不思議な話なんだけど、3年程前…

5年 ago

黒い服のひと

家族構成ね 妻俺子ど…

5年 ago

百合の匂い

高校2年時の話。 自分、絵の塾…

5年 ago