Categories: 洒落怖

とある民家

この怖い話は約 3 分で読めます。

1俺が仕事で経験した話をレスしてみたりする。 
俺、警備員にみたいな仕事してるんだけど、個人住宅で警備会社と契約してる家ってけっこうあるんだよ。警備システムが発動したり、契約者から連絡があると家の様子を見に行くんだけどさ、そんな中でも二度と行きたくないって思った家があった。 

今から5年くらい前、まだ就職したてだった俺が会社の車で待機してると、とある民家から連絡が来たんだよ。当然、俺はその家に向かったんだ。 
その家は街から少し離れた集落にある一軒家だったんだけど、昔ながらの瓦造りの二階建て住宅だったんだけどさ、外から見たら家の中が昼間なのに無茶苦茶暗いんだよ 
不気味な雰囲気だったから家に着いた時に少し体がブルッた記憶がある。 

その家の契約者は、そこそこ高齢の女性。まあAさんとしようか。 
高齢の人って、けっこうボケてる人が多いんだよね。認知症、被害妄想、そういう類の人だろうと思ったんだよ 
しかし連絡があった以上契約者と会わないといけないから、とりあえず呼び鈴を押したんだ 
呼び鈴押してからしばらくしたけど、誰も出てこない。気付いてないのかって思って玄関の小窓をふと見てみたら、チビりそうになった。 

窓のガラスに顔をべったりくっつけて、外にいる俺をジッと見てるババアがいたんだよ。 

思わず「うおっ!?」って声出して何歩が後ろに下がったんだけど、そしたらそのババアがスッと窓から離れて、玄関を開けたんだ。

そのババアこそ、通報したAさん
けっこうデカい家に一人で住んでるんだけど、容姿がこれまたかなりヒドイ。
田舎のばあちゃんが来てるような上着と白いシャツで、下はももひき。上着も染みだらけだし、とにかく汚い。着ろって言われたら、全力で断るレベル。 
髪も長い白髪で、ちゃんと髪洗ってんのかって思う程みずぼらしい感じ。顔も何かに追い詰められたように目の下のクマが凄くて、何て言うか生気のない目をしてた。 
玄関あけて出てきたのはいいけど、Aさん何も言わないんだよ。ただ俺の顔を不機嫌そうな顔で見るだけ。 

しかしまあ、そんなババアでも契約者であることは間違いないから、とりあえず「○○警備の者ですけど、どうかしましたか?」って聞いてみたんだよ。 
そしたらAさんようやく口を開いた。 

「……家の中に誰かいるんです……」 

ボソボソとそんなこと言ってた。 
ぶっちゃけボケた奴って、けっこうそういうこと言うんだよな。鉄格子までした窓から人が入って来るとか、外にいるのに家の寝室に今不審者がいるとか、 
とにかくアホみたいなことを真顔で言ってくるんだよ。 
当然俺もその類の通報だって思ったから、普通に「じゃあ家の中を見てみましょうか」って言って中に入ったんだ

Aさんの案内で家の中を歩いたんだけど、中はやっぱり想像通りの感じ。
埃だらけだし、畳は軋んで穴が空きそうなやつまである。 
机の上にはいつから洗ってないのか分からん食器がたくさん置いてて、置いてあるみかんとか普通にカビ生えてたし。 
ゴミもそこら中に散乱してるから、歩くたびに靴下越しに何か小さなゴミを踏んでるのが分かるくらいだったな。 
そして何より暗い。電気くらいつけろよって言いたくなるくらい。 
しかしまあとにかく広い。凄まじく。田舎の家ってデカいのが多いけど、とりわけ特にデカかった。もしかしたら昔地主だったのかもしれん。 

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