子どものころの怖い話
鬼伝説の山

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俺は隙を狙って逃げた。二人は追いかけてくる。
森へ逃げ込んだ。
俺は体力も二人に比べてなかったのですぐにつかまってしまった。
できるかぎりの抵抗をする。
二人もそれでますます熱がはいり、つかみ合いの喧嘩に発展した。
俺は二人の髪の毛を引っ張る。
彼らも俺の髪の毛を引っ張った。
痛みが頭部に走るのを我慢して、俺は何とか二人の髪の毛を数本握った。
ちょうどNとUの髪の毛を採取できるチャンスだったのだ。
ひりひりする己の頭をなでながら俺は尚も殴られ続けた。
ふと、突然Nの動きが止まった。
物音を聞き分けるように耳をすませている。
その様子に俺とUの手も止まる。
直後、Nは人がかわったようにその場にうずくまった。
震えているのがわかった。

Nは呆然と前だけを直視し、しきりに瞬きをしていた。
呼吸が荒くなっている。
虚ろな目をUに向けるが、すぐさま元の位置におさまる。
「どうした?」Uが声をかけた。
Nは何度かあごを突きだしてどこかを示していた。
「あそこの茂み……」
「茂み?」UはNが凝視する先を見た。
俺も気になって二人の視線を追う。
確かに茂みがあるが、いくつもあってどれのことをいっているのかわからなかった。
Uは適当に見当をつけたらしくいった。「茂みがどうかしたのか?」
「その後ろに……しゃがんだ」
「しゃがんだって? 誰が?」
Uは答えなかった。
尻餅をつき、首を左右に振り始めた。
「もしかして誰かに見つかったのか? なら早く逃げるぞ!」
Uは繰り返しいった。
だが、Nは固まって動く気配はない。
茂みをずっと見つめていたが、特に変化は見られなかった。
Uが走りだそうとした直後、
「動くな!」Nが叫んだ。
UはびっくりしてNを見た。
「まだいる!」

「な、なぁ、一体誰がいるっていうんだ」
「静かにしろ。お前にはいわなかったけど昨日から何かに見られている気がしてたんだ」
「そんなの俺は感じないぞ。気のせいだろ」
「いいや、確かだ。同じ気配がする」
Uは尖り声をあげた。
「お前は誰に怯えてるんだよ! 何もないだろ!?」
茂みは音を立てない。隙間には暗闇があるだけだ。
しかしNは吸い込まれるように生い茂る葉の塊を見据えていた。
「N! お前は何を見てるんだ!?」
「目だよ!」
Nが腹底から声を張り上げた為、一瞬だったが、辺りに低く響いた。
俺は身の毛もよだつ思いがした。
Uも固まっている。
「そんなのどこにも……」
すると、どこからともなく、
「うっうぅ」
という、うめき声が響いてきた。
Uが怯えているのがわかる。
「何なんだよこれ!」俺もよくわからない。
祖母のいっていた鬼が本当に出たのか。

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