子どものころの怖い話
鬼伝説の山

この怖い話は約 3 分で読めます。

 

声のした方を見ると、木々の間に少女が立っていた。
薄いワンピースを着ていて、俺と同世代くらいだった。
暗闇に溶け込む黒髪はまっすぐに垂れ下がり、
肌は彼女を包み込む黒に相反して真っ白だった。
それが不気味さを際立たせている。
「それは呪具?」
透き通った声色だった。
俺はドキマギしてしまい、コクリと頷くことしかできなかった。
不覚ながら俺のタイプの顔をしていたのだ。
俺は少女に質問されて、リュックを見やったが、おや? と思った。
確かにこの中には釘や粘土が入っているが、それらが見えるはずがないのだ。
もしかしたら彼女は俺が呪いの準備をしているところを見ていたのかもしれない。
少し恥ずかしくなってくる。
俺は早く帰路につきたかったが、少女の名前くらい聞いておこうと、
思い切って尋ねてみた。
すると彼女は、
「わたし」と呟いた。

 

俺は理解できずに、もう一度訊きかえしたがまた、
「わたし」としかいわなかった。
彼女の名前は、わたしというらしかった。
もともとこの田舎は俺の地元だ。誰が住んでいるのか、
ある程度把握している。
だがわたしという名前の女の子は聞いたことがなかったし見たこともなかった。
知らない間に引っ越してきた子なんだろうか。
それにしても一人称が名前だとは到底信じられなかった。
俺はニックネームなんだと勝手に判断していた。
「いい目をしているわね」
彼女(以後彼女で統一)は唐突にいった。
そして一方的に、
「誰かを呪いたいの?」と続ける。
俺はふと、彼女の枝のような腕に目がいった。
そこには繊細な肌に似つかない赤黒い痣が刻まれていた。
俺は己の背中にある赤い痣を頭に浮かべた。
このとき、この子も俺と同じ境遇なのだろうかと予想した。
同級生にいじめられて、誰にも相談できず、たった一人で立ち向かっている。
俺は自然に口を開いていた。

 

「TとNとUって奴がいるんだけど、そいつらを呪ってやるつもりなんだ」
初対面の人間に対して発する言葉ではなかったが、俺はその前の経緯なども、
何故か滔々と話していた。
聞き終えた彼女はいった。
「あなたは頭が悪そうね」
「え」
俺は拍子抜けしてしまった。
てっきり同情や同調してくれると思っていたからだ。
でも確かに俺は成績もよくないし、話のまとまりもなかったように思うから否定もできなかった。
「協力してあげようか」
だから彼女がそう提案してきたとき、俺はまたひどく驚いた。
俺は半ばこの子と仲よくなりたいと思っていた。
顔もタイプだし、口が悪いところもあるけれど、共通の話題を持ちたくて、俺は頷いていた。
彼女は俺を見つめ続けていた。
「約束したわね。じゃあ、その呪具はいらないわ。そもそもあなたがやろうとしている呪いはデタラメよ、効果なんてない。だから、この箱をわたすわ」
彼女は俺に、手のひらサイズの箱をわたした。
表面に紋様のような線が刻まれている重い箱だった。

この怖い話にコメントする

  • 匿名 より:

    中二?乙

  • 匿名 より:

    長い上につまらん

  • 匿名 より:

    序盤は面白かったのですが途中から中二病感がでてきて全然面白くなかったです。

  • 匿名 より:

    コメント同意。婆のしゃべり方、標準語なのに「じゃ」とか不自然だし魔法陣のくだりはしっかり萎えて途中でやめた。中二病は早いとこ卒業しなね

  • 匿名 より:

    面白かった

  • 匿名 より:

    厨二好きなら面白いんだろうな

  • 匿名 より:

    魔法陣あたりでファンタジー感満載

  • 匿名 より:

    この程度で長いとかw

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