子どものころの怖い話
鬼伝説の山

この怖い話は約 4 分で読めます。

「あぁああぁ、ああぁ!!」
俺は一目散に蔵へ逃げた。
腕がものすごく震えた。それでも何とか扉を閉めた。
人ではなかった。とにかく細長くて黒い何かだった。
頭部らしきものが出っ張っていた。人と思しき目があった。他には何もなかった。
下腿部分を屈伸させて跳ねてきたのだ。
そして、扉へ体当たり。
悪夢が舞い戻ってきた。俺は鍵を掴んで固定した。
振動が俺の体を吹っ飛ばそうとする。
俺はポケットを探った。お札を扉に貼りつけるためだ。
だが、いくらまさぐってもお札を掴むことができなかった。
「ない」
全てお札は使い切ってしまったらしい。
ノックされた夜に何枚も使ったのを悔やんだ。
だが、俺はもう一つの頼りを作っている。
準備しておいて本当によかったと思った。
俺は思い切って鍵から手を離し、包丁片手に魔法陣に近づく。
扉に当たる衝撃は増していき、鍵が破壊される前になんとしてでもこの儀式を完成させなければならない。
俺は包丁を手のひらにあてがって、すっと下に引いた。
線となった傷から血が溢れる。それを魔法陣に数滴落す。
包丁を魔法陣の中央に突き立てる。
ふと、この魔法陣は本当に利き目があるのかどうか疑問が湧いてきた。
だがすでに遅かった。

刹那、扉が破壊される轟音が響いた。俺は悲鳴をあげた。
すると閉じた瞼の中の暗闇が白い光に包まれた。
光が魔法陣から発生したらしい。
その光の威力から推測すると倉中に及んでいただろう。
そして、跳ねる音が後方より迫る中、俺は気を失った。

眼が覚めたのは夕方だった。俺ははっとして後ろを見る。
あの化け物の姿はなかった。
鉄製の扉は閉め切られたまま、鍵も破壊された形跡もなく元通りになっている。
俺は頭をかかえた。確かにあの後、鍵が壊され扉も突破されたはずだ。
そして、魔法陣から眩い光が――俺は誰かの気配を感じた。
あの化け物かと思い、俺は尻餅をつきながら後退した。
だが、そこにいたのは化け物ではなかった。
低い声がした。
「お前が」
スラリと背の高い、黒衣に身を包んだ男だった。
「お前が呼んだのか、私を」
と、気疲れをひそませた問いを、その怪しげな男は発した。
見知らぬ相手を前に、俺は硬直して何もいえなかった。
しばらくして俺はまず訊いた。
「あなたは一体、誰ですか」
「お前に呼び出されたものだ」
黒衣の男は魔法陣の上に立っている。
俺は成功したんだと直感した。

だが、男が出てくるなど予想もしていなかったので拍子抜けしていた。
目に見えない結界などが張られるとか、そういう考えだった。
俺は化け物を見た後だし、突如現れた男にもそれほど動揺せず、単刀直入にいった。
「俺を助けてください」
「それが願いか」俺は頷いた。
俺は箱を見せた。
「この中に髪の毛を入れると呪われるんです。それで間違って自分の髪の毛を入れてしまったかもしれないんです。だからさっきの化け物に襲われて。とにかくこの箱を開けれさえすれば……」
男は細長い指で箱を掴むと、自分の眼間に持ってくる。
「これは開けられない」
「どうして」
「この箱は私も見たことがある。とても邪悪なものだ。誰からもらった」
「俺と同い年くらいの女の子に」
「ならば彼女でしか開けられない」
「そんな、森へいって何度も探したんです! でもいなくて……」
「森?」
俺は倉の外に出た。男もついてきて家の裏側に広がるB山を見上げた。
「なんと、道が開けているのか。それに同化している」
「道?」
男は答えずにいった。
すでにわかっていると思うがお前が出会った少女は人ではないぞ」
俺はすでにそう確信していた。もっと早くに気づいていればよかった。

匿名 へ返信する コメントをキャンセル

  • 匿名 より:

    中二?乙

  • 匿名 より:

    長い上につまらん

  • 匿名 より:

    序盤は面白かったのですが途中から中二病感がでてきて全然面白くなかったです。

  • 匿名 より:

    コメント同意。婆のしゃべり方、標準語なのに「じゃ」とか不自然だし魔法陣のくだりはしっかり萎えて途中でやめた。中二病は早いとこ卒業しなね

  • 匿名 より:

    面白かった

  • 匿名 より:

    厨二好きなら面白いんだろうな

  • 匿名 より:

    魔法陣あたりでファンタジー感満載

  • 匿名 より:

    この程度で長いとかw

  • 鬼伝説の山