Categories: 洒落怖

実行

この怖い話は約 3 分で読めます。

今から15年前以上前の俺の話をしようか。
某多摩地域の大学に通ってたんだけど、地方から出てきて、知り合いもいなくて、
不本意ながら合格した大学だったから、数か月でつまらなくなって、ほとんど授業にも
顔を出さなくなってた。

インターネット始めたのもその頃からで、当時はまだまだISDNが普及していなくて、
54kbpsのアナログモデムでゴリゴリ接続してた。Win95も不安定で何度も再セットアップ
してたな。サイト数も今よりかなり少なくて、大企業や官公庁の公式サイトはあったけど、
個人で運営しているサイトなんかわずかだったし、コンテンツも貧弱なものが多かった。

そんな中、創作怪談の投稿サイトを見つけた。そこには掲示板やチャットルームがいくつも
あり、何人もの常連達が毎晩のように集まって近況報告や次のオフ会の相談なんかしてた。
俺もオカルト系は嫌いじゃなかったし、何より一人暮らしの人恋しさから、いつしか
そのサイトに入り浸るようになってた。

ただそこでは新参者に対する常連達の態度は至極排他的なだった。掲示板ではレスが
付くことはほとんどなく、付いたとしても

「空気が読めない人がカキコしてるんで、管理人さん削除よろしく」

みたいな、余所者は認めないよという雰囲気を漂わせていた。
チャットルームに入室しても挨拶もそこそこに、常連でしか共有できない話題に終始し、
酷い時には新参者が入室したと同時に、そこにいた常連全員が別のチャットルームに移動
なんてこともあった。

俺も正直彼らの態度が面白くなかった。けれどもいつかはその輪の中に入っている自分の姿を
思い浮かべながら、相手にされていないと分かりつつも、そうですね~みたいに相槌を打ちながら
チャットに参加し続けていた。

539 :洗濯機 2@\(^o^)/:2014/11/03(月) 03:07:07.64 ID:oiJp8NGW0.net
ある日の事、以前掲示板に書き込みした内容に一人の女の常連がケチを付けてきた。彼女は物書きを
やっているらしく自分に自信のあるタイプ。チャットでもあまりいけ好かない女だったので
俺はなるべく関わらないようにしていたが、チャットルームで偶然出くわしてしまった。
何人もの常連がいる前で女に嘲笑される俺。我慢できなくなり反論した。すると、他の常連達も
女に加勢し、袋叩き状態にされてしまった。

誰かがICQあたりで連絡を取ったのだろう。そのサイトの管理人で今でも著名な創作怪談師が
チャットルームに姿を現した。俺の意見は彼に取り上げられる事もなく、問答無用でルームから
追い出され、出入り禁止となった。その際の彼の一言が、こうだ。

「お前はウチの常連に暴言を吐き、サイトの治安を乱した」
「呪ってやる、お前の家の前にウンコをしてやる」

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