Categories: 洒落怖

布団が吹っ飛んだ

この怖い話は約 3 分で読めます。

534 坂 夏里 sage 2008/05/16(金) 00:03:02 ID:/oXEfEr00
『布団が吹っ飛んだ』

「坂さん。今日もお布団が床に落ちてましたね。もうすっかり元気ですね」
「佐藤さんがセクシーだから溜まりっぱなしのオイラの息子がはねのけちゃうんだよね」
「ハハハ・・・もう朝っぱらからそんな話しですか。好きですねえ。その調子だと義足が出来次第退院出来そうですね」

俺は弱かったけど元プロレスラー。色々な意味で回復はとても早い。
しかしここ最近は悪夢ばかりを見てしまう。
俺は交通事故で両足のヒザから下を失っていた。
幻覚痛はあるし精神的にも参っているからそりゃ悪夢くらい見るだろう。
夢の内容はあまり覚えていないがとにかく酷い夢だと思う。
毎朝汗だくになっている。そして布団が吹っ飛んでいる。
どんな夢なのだろう。気になった俺は夢日記を付けることにした。
だが悪夢というには程遠いごく普通の日常生活の夢ばかりだった。
「なぜ平凡な夢なのにこんなに汗が出てるんだ?それにこの布団のぶっ飛び方。なぜだ?」
俺は佐藤さんにマメに見回りをしていただき、うなされているようだったら
起こしてもらえるようにお願いした。
「昨日は夜這いと間違えられるぐらい見回りをしてくれたのかな?」
「・・・・はっ、はい。で、でも特に問題はありませんでしたよっ・・・」
いつもの軽いジョークだが、なぜか佐藤さんの反応が固い。
どんびきするくらいうなされていたのだろうか。あるいは卑猥な示威行為…?
俺は自分がうなされているところを見たくなったのでビデオカメラをセットすることにした。
恥ずかしくもありちょっと嫌な感じもしたのだがとにかく自分がどんな風にうなされているのかが知りたかった。
「よし。これでOK。あとは寝るだけだな」
俺は少しの期待というかちょっとだけ照れながら床に着いた。

536 坂 夏里 sage 2008/05/16(金) 00:04:46 ID:/oXEfEr00

「おっ、8時間も録画されているよ。バッチリ撮れたみたいだな。ではさっそく再生してみるか」
しかし期待というか予想通り、ただ寝ているだけのごく普通の俺がそこにはいた。
「今日も汗びっしょりだったし、布団は吹っ飛んでいたしうなされていたはずなんだけどなあ」
俺は早送りなどしながらくまなく調べていった。
すると寝てから6時間くらいが経ったところで少しの変化があった。
「おっ、そろそろ悪夢のシーンが出てくるのかな?」
俺の体がモゾモゾと動き始めた。そして次の瞬間、俺は全てを察した。
「なーんだ。ヒンズースクワットをしてるよ。どうりで布団は吹っ飛ぶし汗をかくわけだ・・・・」

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