洒落怖
冬山登山

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295 1/4 sage New! 2008/12/29(月) 05:26:09 ID:ztGoWcYn0
数年前私がとある雪山で体験した恐怖をお話しようと思います。

その当時大学生だった私は山岳部に入り、仲の良い友人も出来て充実した大学生活を送っていました。
山岳部の中でも特に仲の良かったA男とB輔とはサークルの活動だけでなく、実生活の方でも非常に親しくなることが出来ました。
そんな私達はまだ大学2年生であり、就活や卒論までにはまだまだ時間の余裕があったので2年の後期が終了するとともに3人で旅行に行くことに決めました。
当然のように私達の旅行というのは登山の絡むものとなりました。
当時何度かの冬登山の経験を積んでいたとはいえ、まだ私達は自分たちだけでリードできるほどの自信は持っていませんでした。
そこで私達はA男の実家近くのK山に登ることにしました。
K山ならばAも子供の頃から何度か登っており、自信があるというのです。
私達の旅行は3泊4日の予定で、初日にAの実家に泊めてもらい翌日から2日かけて山を堪能する計画にしました。

Aの地元に着いた私達はAに案内をしてもらい市内の観光がてら神社で登山の安全祈願をしに行くことにしました。
地元で最大の神社にお参りをしようと境内に入った時にBがピタリと足を止めてしまいました。
どうしたのか不思議がる私達にBは
「嫌な視線を感じるわ…良くないわこれ…よくない…絶対」
と言って冬だと言うのに汗をかき始めてしまいました。
Bはいわゆる「みえる人」です。
普段の生活ではあまりそれを表面に出す事無く生活しているのですが、何か大きな危険や不気味で不穏な気配(本人は見える気配と言っていました)を感じるとこのようになってしまうのです。
実際に以前Bが「明日嫌だわ」と言った翌日に学校の天井を突き破って死者の出る事件がありました。
私達はそれを知っていたので
「じゃあ、もう帰って温泉につかってゆっくりしようぜ」というAの提案に乗って帰宅することにしました。
書き忘れていましたがAの実家は温泉旅館を経営しています。
帰宅途中もBはあまり浮かない顔をして何か「ぅん来んなよ..ぅん」などと言っていた気がします。

296 2/4 sage New! 2008/12/29(月) 05:38:48 ID:ztGoWcYn0
AもBを気にかけて「大丈夫だよ、俺のじいちゃんから悪いのを追っ払う方法聞いておいてやるからな!」と言って励まそうとしていました。
ちなみにAが帰宅してからお爺さんに聞いた追い払う方法と言うのは大きな声で「喝っーーーーーーーーーーー!」と気合を霊にぶつける方法でした。
あまりにアホ臭かったのですが空気は和み、私達は温泉につかり翌日に備えて早めに床にもぐりこみました。

翌日の天気は快晴、絶好の登山日和となったK山に私達は興奮を抑え切れませんでした。
前日はずっと心配そうな顔をしていたBもこの時は「早く登りたい!」という気持ちが顔から溢れていました。
私達は午前8時に出発し順調に登山を開始しました。
冬の山は一見殺風景ですが、時間や高度によって変わる空気の味や、白い世界に際立つ生命の痕跡など、普通の登山とは違った楽しみが存在します。
私ももう一つの趣味の写真などを楽しみつつ非常に充実した時間を過ごしていました。
私たち3人は午前中を各々が山を楽しむ形で歩き続け、中腹にある山小屋を目指して登っていました。
空気が変わったのはちょうど昼頃を回った時でした。
天気は晴れたままだったのですが、空気が固定されたように感じ、動きや気配と言うものが消えてしまったかのように感じたのを覚えています。
それまではAを先頭にかなりゆったりとしたペースでB、私と続くように歩いていました。
ところがその静止した空気を私が周囲に感じ始めた頃からBのペースが俄然速くなりました。
雪山と言うのはパッと見はまさに死の世界です。私はこのままAとBに置き去りにされ何も無い白の空間を彷徨う恐怖を感じ急いで追いかけました。
幸い置いて行かれることは無かったのですが、追いついたBの様子が変です。その頃にはAも心配してBの様子を見に少し降りてきていました。
Bは蒼白な顔で「ダメだわ、付いて来ちゃったダメだ。よくないって…だめだめだめだ」と呟いていました。

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