Categories: 洒落怖

猛者

この怖い話は約 3 分で読めます。

245 とんこつ 2009/09/08(火) 05:03:48 ID:ITO0Scx+0
俺の友人に猛者っていうゲーマーがいる。
高校時代からの付き合いだから、もう5年近くなるかな。
まずは先に何でそいつに【猛者】って呼び名がついたのかってところから話していきたいと思う。

高校3年の丁度今頃、俺たちはあるオンラインのゲームにハマってたんだ。
夜な夜な二人でゲームとスカイプを同時に起動させて、
お互いに話しながら夜から明け方にかけてを一緒に過ごしてた。

その日もいつも通り深夜0時くらいから始めて、2時を回った頃。
いつもだったら一番猛者のテンションが上がってる時間なんだけど、

その日だけ違った。

「やっべー」
「なした?」
「眠い」
「マジで?早くね?」
「ほんっとだよ…俺昨日起きたの夕方なのに」

いきなり猛者が睡魔に襲われたらしくて、口数が格段に減ったんだ。
俺が話しかけても「あ~」とか「ん~」とかしか言わなくて、
すぐにそれすら反応しなくなった。

「おい、寝オチかよ」

スカイプ画面のビデオ映像に目をやると、
やっぱり猛者は頬杖を付いたまんま寝てたんだ。
目とか口とか半開きな猛者の寝顔がおっかしくって、
俺は笑いを堪えながらそのまま寝顔を眺めてたんだ。
たまにイビキまで聞こえてきて一瞬噴出しそうになった俺は、
急いで自分のマイクをミュートにした。
俺の笑い声で目を覚まさないように。
247 とんこつ 2009/09/08(火) 05:05:35 ID:ITO0Scx+0
で、しばらく見てたんだけど流石に男の寝顔眺めんのにも飽きたから、
俺は一人でネトゲ再開した。
猛者が寝てから一時間近く経ってたはずだから、
たぶん3時すぎくらいまで一人でネトゲしてたんだけど、
いきなり猛者がなんか言ったんだ。
言ったというよりも、叫ぶような、奇声に近い声だった。

「おーい」
「・・・ち、・・し・・ぃぃ・・」
「なに?」
「・・・・・・・・・・・う・・ぁ・・」
「なんだよ、寝ぼけてんのか?」
「・・・・・・・・・」
「声小さすぎて聞こえねーって」

俺が問いかけるが、喉がかすれた感じの音しか聞こえなくて、
どうにも様子がおかしい。
俺はまたスカイプのビデオ映像に切り替えると、
そこにはさっきと全く様子が変わらない猛者の寝顔が映し出されていた。

250 とんこつ 2009/09/08(火) 05:14:05 ID:ITO0Scx+0
「なんだよ、寝言かよ」

俺はそこでまた自分のマイクをミュートに戻して、ネトゲに戻ろうとしたんだが、そこで運悪く俺のパソコンがフリーズしたんだ。
猛者の寝顔がでかでかと映し出されてる画面のまま、カーソルすら動かなくなって再起動すら出来なかった。

「まじかよ・・・」

ただなぜか、不思議なことにスカイプの動画だけは起動しているみたいで、猛者の体が呼吸に合わせて肩が小さく動くのが見えた。

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