Categories: 洒落怖

持ち出し禁止

この怖い話は約 3 分で読めます。

152 1/4 sage 2009/09/07(月) 20:37:51 ID:VunhrRwHO
僕の家には家宝と呼ばれるお宝(それが他人にとって価値あるものかは分からない)が三つある。

一つは家系図。約400年前 まで遡る家系図は巻物数十巻に及び勿体振った桐の箱に収められている。
もう一つは刀。かなり昔にご先祖さんが武勲を立てた折に殿様からもらったとか。
そして最後に鏡。鏡と言っても大昔の銅を磨いた骨董品。日本史とかの教科書に載ってるようなやつ、あれの手の平に乗るサイズ。
これまた大層な桐の箱入り。
これら三つのお宝には扱い方が決められていて、
・家系図はその代の本家の家長しか箱から出してはならない。
・刀は売るとかなりの値段で売れる(鑑定した訳ではない)が売ってはならない。家長が月一で手入れする事。
・鏡は仏壇に安置し、毎日その無事を確認する事。決して本家の敷地より外に持ち出さない事。家長といえども箱から出してはならない。

…だいたいこんな感じ。

これからお話しするのはこの中の銅鏡に関して。本当なら結構怖い。

153 2/4 sage 2009/09/07(月) 20:42:48 ID:VunhrRwHO

その銅鏡は不思議な形をしていた。六角形の台座に丸い鏡の部分が重なっている。
鏡と言うから覗いてみても錆びだか細かい傷だかでほとんど物を写す力は失われている様だった。しかし厚さが2センチ位の割に重く霊験新たかな感じはしたものだった。

小学生の頃友人らと珍しい物自慢大会があって、放課後に各自お宝を公園に持ち寄った事がある。みんなはおもちゃっぽい物を持って来たが、僕は件の鏡を持って行った。触るなとは言われていたがお構い無しだった。
結果は1番宝物らしいと言う事で僕の優勝。鼻高々で家路についた。

……そして家で待っていたのはお察しの通り親父の大目玉。何か変わった事はなかったかしつこく聞かれ、散々叱られて二度と触らないと約束させられた。
自分としては壊した訳でもないのに納得行かなかったが一応謝り決着。許してもらった。

それ以降は特別に興味があるでもなく触る事はなかった。

154 3/4 sage 2009/09/07(月) 20:47:00 ID:VunhrRwHO

そして去年、僕が二十歳の誕生日を迎える頃に親父から呼び出された。
大学に入り親元から離れた場所で暮らしていた僕は何事かと思いながら実家に帰った。

親父は仏壇のある部屋に僕を座らせ話しを始めた。
内容を要約すると、
・我が家に伝わる家宝の由来、取り扱い方。
・うちの家系は代々陰陽道に関係し主に呪物の管理に当たって来た事。
・現在はほとんどの呪物は博物館等へ寄贈し残っていない事。

…ここまで話し、親父は一息つく。
こんなつまらない話しをする為に呼んだのかとウンザリしていたがようやく終わりか…ホッとしかけた所で
「さて、ここからが大事なんだが…」
と再開。いい加減眠気が差して来たが、いつになく真剣で聞かざるを得ない。
親父は仏壇に安置してある鏡の入った箱をテーブルに置いて話し始めた。それはとても信じられない程現実離れした内容だった…

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