Categories: 洒落怖

オンマシラの儀

この怖い話は約 3 分で読めます。

757 本当にあった怖い名無し sage 2009/09/11(金) 01:10:00 ID:GzzUdT+a0
古くからの風習とか、呪いとか、そういう類の話なので現実的な恐怖ではないかもしれないけど。
この板にいる人らは興味が湧くんじゃないかと思って書いてみる。俺の実家近辺の話。

俺の実家周辺はかなり山深くて、未だにケータイの電波も届かない。しかも全キャリアだ。
子供の頃はTVゲームもやらず(うちの親はそういうものの存在すら知らなかった)、
山で遊ぶしかない暮らしだった。日が暮れるまで山で虫を捕まえたり、基地作ったり。
当然、山なんで色んな動物も出た。蛇、狸、それから猿。

特に猿は保護されるようになってからどんどん数が増えて、俺らが遊んでいてもすぐ近くで
猿の姿を見たり、鳴き声を聞いたりしたもんだった。

猿はうちの集落にとっては厄介者で、畑を荒らす、家に入ろうとする、子供に危害を与えるかも
しれない等等の理由から、大人たちは(保護されてる事は知りつつも)止む無く自主的に、猿の
「駆除」をしていた。

駆除された猿は、全て「村の長老的ポジション」のじい様の家に運ばれた。子供の頃は、駆除の
現場を見たことはなかったが、猿の死体をじい様の家に運んでいく大人の姿はたまに見かけた。

俺が高校3年のあるとき、じい様の家から俺にお呼びがかかった。当時はもう自分の環境が
いかに恵まれていないか十分に認識していた頃だったんで、いかにも田舎臭い「長老」みたいな
存在は嫌で嫌でたまらなかったんだが、俺の両親も必死な感じで、行ってこい、と促すので
しょうがなく行った。

759 757 sage 2009/09/11(金) 01:11:00 ID:GzzUdT+a0
じい様の家に行くと、白装束を着たじい様が正座をしていた。
何歳になった、勉強は頑張っているか、みたいな話をされたと思う。そんなやりとりの後、
じい様が奥の20畳ほどもある広間に俺を連れて行った。

広間の中央には、気味の悪い死体が転がっていた。顔と大きさで何とか「駆除された猿」だって
事はわかったが、「猿」は全身の皮を剥がされ、ミニサイズの着物を着せられていた。
一見すると、「牙の生えた、皮を剥がされた人間の子供」だ。

死体の周りには、じい様の取り巻き(じい様よりランクが低い年寄り連中)が集まって、
なにやらヒソヒソと話している。じい様は俺に、「まだ17歳だな」と何度も念を押した。

突然の展開にびびっている俺に、じい様の取り巻き達は白装束を手渡し、着替えろと言う。
取り巻き達の座った目線が異常に思えて、俺は素直に従った。着替え終わると、取り巻き達は
死体を広間から庭へ運び、庭に設置された小さなやぐらに載せた。

「オンマシラの儀、○○が長男、△△」(俺の苗字と名前)

じい様が仰々しく言うと、取り巻き達が延々と名前を読み上げ始めた。最初は何のことか
わからなかったが、しばらく名前を聞いているうち、俺の先祖の名前を言っているのだと
わかった。最後に俺の名前まで言い終わると、じい様は手に松明を持ち、やぐらに火を
つけた。やぐらは燃えやすいよう、藁や古新聞が敷き詰められているようだった。

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