Categories: 洒落怖

綺麗な女性

この怖い話は約 3 分で読めます。

54 1 sage 2009/08/11(火) 20:03:58 ID:dUht4fp90
幽霊を見た事があると言う知人の話。

彼が電車に乗っていた時の事。
途中の駅から若い女性が乗り込んで来た。
凄い美人でミニスカートから綺麗な足が伸びている。
女性は開いている席を探している様な、
知人を探している様な様子で車両を歩いていたらしい。
彼が鼻の下を伸ばしながら女性を見ていると
隣の席に座る老女がいきなり話しかけて来た。

「あんたにも見えるんだね‥」
「?」彼が何を言うんだこの婆さんと言う顔で見返すと
「周りを見てごらん‥
あんた以外にアレを見てる者はいるかい?」
彼はハッとしてしまった。老女の言う通りである。
あれだけの美女があんな短いスカートをはいているのに
誰も女性を見ていないのだ。
頭の悪そうな男子高校生さえも一瞥もしない。
老女は独り言の様に話を続けた。

「あたしはプロだから見えるんだけどね、
でもあんた見たいな素人にも見えるとは珍しいね。
アレはかなりタチの悪いモノだよ。
この近くで電車に飛び込んで
成仏できずに彷徨っているんだろうけど‥」
「飛び込みですか?でも‥」
彼は思わず聞いてしまったと言う。
老婆は女性が電車に飛び込み自殺をしたと言うが
女性は生きているかのように綺麗だったからだそうだ。

55 2 sage 2009/08/11(火) 20:04:51 ID:dUht4fp90
「あんた、映画の見すぎだよ。
アンなモノでも昔は女だったんだよ。
女ってのはね、死んでも尚、綺麗でいたいものなんだよ。
あたしがこれまで手がけた女モノは皆、
生きてた時、一番綺麗な姿で出て来たよ。
そんな事より
ホラホラ、アレが来るよ。あんた絶対にアレと目を合わせちゃ駄目だよ。」
女性は彼と老女に気付いたのか歩調を速めやってくると
彼の前に立ちはだかった。
彼は本当に生きた心地がしなかったそうだ。
目をギュッと瞑りジッと下を向いたままであったと言う。

電車が次の駅に着いた時、やっと隣の老婆が声を掛けくれたらしい。
「もういいよ。ほら、アレは獲物を見つけて出て行くところだよ。」
彼がゆっくりと目を開けて顔を上げると女性は
二十歳そこらの、見た目の良い男と電車を降りるところだった。
「女の性なんだろうね‥捕りつく男もカッコ良いいのがいいのかね‥」
(彼はハゲ、デブ&オヤジのスリーカードを持っている。)
と言うと老女はニヤリと笑い言葉を続けた。
「今日はサービスしといてあげるよ。
依頼なら一本は貰っているところだけどね。」

彼はそれ以前もそれ以後も幽霊は見ていない。
なぜ、あの時だけ彼にアレが見えたのか?
一本とは十万円なのか?
百万円なのか?は未だ彼には分からないと言う。

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