Categories: 洒落怖

家を揺らす女

この怖い話は約 3 分で読めます。

886 (1/4) sage 2009/08/03(月) 14:55:27 ID:9sWWdmtp0
中学高校と、実につまらない学校生活を送ってきた。
大学に入ったら、その6年間を取り戻す勢いで遊びに遊んだ。
コレはそのときに体験した唯一怖かった話。

まぁ、要するに今頃の時期、夏期休暇中に「肝試し」をしたんだ。
大学は広島にあるんだが、サークルの仲間と山口県にある廃屋
(「7つの家」と呼ばれる場所とは違う場所)に行こうって流れで。
なんでも友人Aがゼミの教授の手伝いで山口に行った時、偶然その廃屋を
見つけたらしい。離れた所から見ただけで中には入ってないそうだが、
Aが雰囲気タップリに語る廃屋の様子は、なかなか不気味で怖そうだ。

で、車で出発する事に。
運転は俺で、ナビゲートはA。BとCは後部座席でゲーム談義。

Aの記憶を頼りに道を走り、途中で迷ったりパトカーに止められて
職質されたりしながらも、なんとか「H市S見」に到着できた。
到着したのは夜の1時ぐらい。
その廃屋は無人駅がある場所から、さらに海側へ言った場所にあった。
寂れた漁港を見渡せる、少し小高い場所らしいのだが、外灯がないので
何も見えない。その代わり潮のきつい臭いが気持ち悪かった。

ライトで照らすと、なるほど確かに不気味で怖そうな廃屋だった。
木造らしく、2階はない。ただ和風造りの建物ではなく、個人的な
印象はアトリエみたいだった。白く塗られていた壁は、潮風や雨風等で
すっかり汚れ、朽ちた状態と相まって「オバケ屋敷」みたいだった。
ただ、水洗式ではなかったのか、トイレがあるであろう場所から見える
浄化槽の煙突みたいなのが雰囲気を壊してて、そこだけが笑えた。

廃屋の周囲にある草は刈られており、いくつかにまとめられていた。
おそらく近所の人が、ついでに作業したのだろう。
それが逆に「野ざらしの家」と「管理された庭」の対比ができていて、
アンバランスさがモヤモヤした物を感じさせる。

887 (1/4) sage 2009/08/03(月) 14:59:35 ID:9sWWdmtp0
Aに促がされ、各人のライトで周囲を照らしつつ、廃屋の中へ。
玄関のドアは壊れて倒れていた。それを踏み越えてはいると、すぐに
リビングらしき部屋が現れる。家具やテレビはそのままだった。
(もちろんボロボロで使えそうになかったが)
フローリングの床は所々に穴が開いていて、足元と周囲を交互に確認
しながら進まなくてはならなかった。
そんなに風は強くないのに、家がギシギシときしむい音がする。

リビングの側には浴室があった。ここが一番損傷が激しかった様に思う。
タイルはボロボロで、浴槽はなかった。ぽっかり開いた穴から何かが
出てきそうで、なかなか怖かった。リビングに戻り、奥へと進む。
床を踏む音に家全体がきしむ音が重なって、不気味に響く。
その音にビビったBは「もう帰ろう」と言いだした。
CとAが「だらしねぇ」と笑ったが、実は俺も帰りたかった。
なんというか、当初の勢いというか熱というか、もう冷めていたのだ。

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