Categories: 洒落怖

ロングコートの男

この怖い話は約 3 分で読めます。

17 ① sage 2009/06/19(金) 23:54:18 ID:8qPC7aS0O
5年前の6月中旬、金曜の夜でした。
仕事が終わって会社を出たのが8時前、自転車に乗って家へ帰りました。
その通り道には3部屋×2階の非常に古いアパートが空き地の中にぽつんとあります。
数か月の間に周りの建物が全部壊され、そのアパートだけが残っていました。
そこには左下の部屋にだけ人が住んでいますが、後は空き部屋のようです。
右上の部屋はベランダがボロボロで壊れていました。

その日の昼間、会社で先輩達がそのアパートの話で盛り上がっていました。
右上の部屋のベランダに人が立っているのを見たというのです。
私は自転車を止めて興味本位でその部屋を見てみました。
左下の部屋には電気がついていますが、他は真っ暗、よく見えません。
それでも目を凝らしていると、右上で黒いものが動いたように見えました。
人のようです。しかし、あのボロボロのベランダに人が立てると思えません。
そのうち、その人がこちらを見たような気がして、背筋がぞっとしました。

18 ② sage 2009/06/19(金) 23:57:22 ID:8qPC7aS0O
すぐ自転車を走らせ、家路を急ぎました。ドキドキして落ち着きません。
途中、道端に人が立っていて、直前まで気付かなくてびっくりしました。
通り過ぎましたが、違和感がありました。黒いロングコートを着ていたのです。

さらに走っていると、前方の塀と電柱の間、黒いロングコートの男がいました…。
怖くてたまらなくて、さらに加速しようとしたら髪の毛を後ろからひっぱられました。
自転車を止めて後ろを見ましたが誰もいません。
もう少し行ったらスーパーがある、そこへ行こうと、脇道へ入りました。
すると何もないところで自転車が何かに引っ掛かったようになり、私は倒れました。
右側に倒れ、足や肘に強い痛みを感じながら目を開けたら、恐ろしい形相の男がいました。
私は気を失いました。

19 ③ sage 2009/06/19(金) 23:59:12 ID:8qPC7aS0O
そして、「大丈夫ですか」と体を揺すられ、目が覚めました。
60歳くらいの男性が心配そうに見ていました。
「大丈夫です」と答え、起き上がるのを手伝ってもらいました。
体は痛くなかったので男性にお礼を言い、自転車に乗って家へ帰りました

家へ帰ると、時間は10時半でした。通勤時間は15分程度です。
2時間くらい気を失っていたようです。
服を脱いだら、右足太ももが広範囲にわたって紫色になっていました。
右肘は徐々に痛みが増してきて、数日後、手が痺れてきたので
病院へ行ったら骨にヒビが入っていて尺骨神経を傷めていると言われました。

完治には時間がかかりました。
右手がまともに使えるようになった3ヵ月後、あのアパートは壊されました。
跡地には新しいマンションとコンビニができ、私は転職して引っ越しました。

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