Categories: 洒落怖

何を沈める

この怖い話は約 2 分で読めます。

973 本当にあった怖い名無し sage 2009/04/06(月) 23:05:52 ID:qzRqZhgl0
僕が先日帰省した時の話である。
深夜2時を過ぎていた。連休で狂った体内時計のせいで僕の調子はピークに達し
なにかしら暇つぶしを考えたが、島には娯楽など無く、
しぶしぶ徒歩30分の数少ないコンビニへ向かった。

道中は海岸沿いで、猟師町特有の、
猫の糞と魚の死骸の臭いが粘い潮風に混じり不快極まりなかった。
それでも道を行くと、どぼん、どぼん、海から音が聞こえてきた。
僕は足を止め、目を細め海の方を見る。

小柄の黒い影、人影?が投げると言うよりは落とすといった風に、何かを海へ沈めていた。
通り過ぎても良かったが、好奇心が嫌な予感に打ち勝って僕は影へ歩みを進めた。
それに、島の住人は殆ど知り合い、知らない人の方が少ない。
それが恐怖心を和らげていたのだろう。
少し歩くと、輪郭がはっきりしてきた。
影は折れていて、おそらく腰の曲がった老婆だろうと思った。
どぼん、どぼん、等間隔で鳴るその音は、寝静まった街では研ぎ澄まされて
頭を打つ程の音量に思えた。どぼん、どぼん。
深夜に海で何をしているのか、好奇心と恐怖でそれから目が離せなくなった。

するとその影がピタと止まった。それによりずっと鳴り続いていた落下音は止み、
耳鳴りするほどの静寂が訪れた。
静寂は時間が止まったと錯覚するほどに無音で、
その空気は有無を言わさず僕の身体の動きを止め、
立ちながらの金縛り状態に、じっと老婆の影を見るしかなかった。
恐らく、その影もこちらを見つめていた。

bronco

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bronco

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