洒落怖
口に出すな

この怖い話は約 3 分で読めます。

おいらです。
犬の話で荒らしてしまってすみません。
大学の頃に漫画家先生のアシのバイトしてまして。その時のお話。
宜しければ。

ーーーーーーー
一時期、大学のサークルの関係で、アシスタントのバイトをしていた時期がある。
高円寺の北にある先生の自宅に伺って、5人くらいの編成で、一人一晩1万円。
おいらの担当は背景とトーンワークだった。内容は、まあ推して知るべし。
そのアシ連の中に一人、結構強力な人がいた。名前をモリヤマくんという。
黒ブチのメガネをかけた、フツーの高青年だ。彼もまだ大学生だった。

そのモリヤマくんは来る度に、にこにこ笑いながら、何かと心霊写真を持ってくる。
これが毎回、なかなかにエグい。
彼がアシに来ると、先生もその輪に入ってしまい、なかなか仕事にならない。
だがこの日、彼が持ってきた写真は、いつにも増してヤバかった。

「この前、K野神社で撮ってきたんですよ。天気も良くて。いやーすごかった」
フィルム2本で48枚のプリントは、冗談でなく、全てがおかしかった。
まず、全部粒子の色が泡立っている(砂地のように見える)。
どの樹木を写しても、木の葉の影に髑髏が無数に見える。
階段を撮っても、そこに落ちる木立の影が、牛の頭の骨に見える。

写真のどこかに霊体が…というレベルではない。全ての写真の全面に写って
いるのだ。
ここまで来ると、皆黙りこくってしまった。普段はスゲーだのヤベーだの騒いでいる
先生も静かになっている。息を呑む作品群だった。
夏の暑い日、窓を開けているのに部屋の温度がどんどん下がってきてるのが判る。

128 本当にあった怖い名無し sage 2009/11/22(日) 02:32:26 ID:rETLHkqV0
「いいスか、次の写真は絶対に論評しちゃダメっすよ。口にするとヤバイ。マジで」
モリヤマくんは、この日の取って置きをペラリと出した。
「…これ、誰ですか?」
「ああ、彼?一緒に行ったスズキ」

…あまり悪い事は言いたくないが、正直、素人目に見ても、彼は長生きできない
のではないかと、本気で心配になる写真だった。
いや、このスズキという人物、本当に人間なのだろうか?それすらも怪しい。
心霊写真を見ただけで、涙ぐんでしまったのは、これが初めてだった。

平らな場所に、そのスズキさんが両手を後ろ手に組んで、こっちを向いて笑ってる。
太陽は彼から見て右手の頭上にある。故に影は彼の左下、つまり写真に向って
右下に伸びるはずだ。だが、この影がとんでもなかった。

まず、彼の影が彼の足元に繋がってない。ここから既におかしい。
影の片手が上がっていて、長い杖みたいなものを持っていて…なんですか、これ?
背中に、一際大きな影が…コレは翼でしょうか?
頭には角のようなものも…もうカンベンしてください…
駄目押しに、尻尾のようなものが腰から…これでは、まるで…悪ー

同じ言葉を、よりにもよって先生が呟いてしまった。
「…これは…まるで、ア…」

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