Categories: 洒落怖

山道の集団

この怖い話は約 3 分で読めます。

去年の夏、某温泉地での話です。
私が所属する研究室の先輩と二人で学会参加を兼ねた二泊三日の温泉旅行に行きました。
初日は学会を適当に切り上げ温泉を堪能しました。

二日目、朝からブラブラ気の向くまま車を走らせ、途中寄った観光地として有名な滝で
先輩が写真を撮ったところ、変なものが写りこんでいました。

画面中央、大きく写した滝のあちこちに顔のようなものが。というか顔でした。
お互いこんなものを撮ったことは初めてで、非常に不快で、すぐにデータを消去しました。

そんなことはすぐ忘れようと、楽しく旅行を続けました。
途中知り合った三人組の大学生の男の子とご飯を食べ、9時くらいに宿に戻るため車で出発しました。

先輩は運転のため、お酒は飲みませんでしたが、わたしはちょっと酔ってしまい、助手席で寝てしまいました。
宿に着き、先輩に起こされるまでの二時間ほど熟睡してしまったようでした。
しかし、私を起こした先輩は顔面蒼白でわんわん泣きはじめました。

418: 本当にあった怖い名無し:2011/06/21(火) 00:08:20.90 ID:YDkjWFfb0
私が寝てしまったあと、先輩は一人で車を運転していました。
ナビによると宿までもう少し、というところで赤信号につかまったのをきっかけにタバコを吸って休憩しました。
半分山道のような道路で、他に走る車もなく、信号手前の道のど真ん中で停車し、タバコを吸っていたそうです。

すると、サイドミラーに後方から歩いてくる妙な集団が写りました。
近づいてきてはっきりと見えました。
十数人ほどの銃や重そうな荷物を抱えた軍人でした。

どう考えても普通じゃない、逃げなきゃと本能的に察した先輩は急ぎぎ発車しようとするも、
突然エンジンかかからなくなってしまいました。
集団はどんどん近づいてくるが、焦る先輩をよそに、エンジンはまったくかかってくれない。
集団はやがて車に接近し、ぐるりとまわりを取り囲むと、中を覗きこんできました。

真っ暗やみのなか、ヘッドライトに照らされ、彼らの顔立ちがはっきりと見えました。
日本人。なんとなく今風の感じではない。みんな泥にまみれ、血糊がついているものや、怪我人もいる。

先輩はもう気が気ではなく、目をつぶり、念仏を唱えました。
しかし、念仏はナミアムダブツまでしかわからず、これじゃだめだ、と
ミラーにかけたお守り(安全運転のものですが)を握りしめ、
助けてください、助けてください、
と祈りました。

ふと、誰かがなにか話しかけてきたたのが聞こえました。
なんといっているのかわからず、思わず目を開けると、運転席を覗きこむ一人の男がもう一度言いました。

今度ははっきり聞こえました。
「おい女、なにをしてるんだ。ふざけるなよ。」
まるで耳元で囁かれたかのような感覚を感じました。

先輩は叫びだしたい衝動をこらえ、もう一度エンジンをかけると、今度はしっかり起動しました。
跳ねても轢いてもかまわない、という勢いで急発進し、猛スピードで立ち去りました。
不思議なことに、フロントガラスの前にいた者たちに衝突した感触はなかったとか。
その後、ほうほうのていで宿までたどり着き、ようやく一息つき、私を起こしたそうです。

Page: 1 2

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

ブライダルフェア

いや、たいして怖くないんだけど…

4年 ago

教祖の妻の肖像画

親が昔、へんな宗教にはまってた…

4年 ago

The Body

10年くらい前の話だけど・・・…

4年 ago

謎の曲

出所が分からない所からの楽曲ダ…

4年 ago

エレベーターで見たもの

じゃあ俺が生涯で一番ビビった話…

4年 ago

強烈な遺体

久しぶりに民話でなく現代の話を…

4年 ago