Categories: 洒落怖

欲しい

この怖い話は約 3 分で読めます。

ここ見てるような人にはどうかはわからないけど自分にとっては死ぬほど怖かった体験

昔から体が丈夫でなくて季節の変わり目にはほぼ体調を崩してしまうのだが、この前
(2週間ほど前かな)いつものように風邪を引いて寝込んでた
熱は37度ちょっとだったんだけどだるくて痛くて意識が朦朧としてた
朝おかゆを食べていつの間にか寝てしまっていたらしく、窓ガラスのサッシが開く「ガラッ」って音で目が覚めた
最初は「お母さんが窓を開けたのかな」とか思っていたけどそれはない
その日は母はパートで夕方まで家にいないはず
お父さんが出勤する車の音も聞いていたし、姉と妹も出かける前に様子を見に来ていたので今家にいるのは私とペットたちだけのはずだった

開いた窓へ顔を向けると窓枠に黒い靄がかかっていた
それはおぼろげながら人の手のような形をしていた
ぞわっと総毛立つ感覚がして「ヤバイ」と思い、逃げようとしたけど体が重くて動けない
その靄はゆっくりと部屋の中へ入ってきていて、そいつは全身墨がにじんだような人型だった
ついにその靄は私の部屋に降り立ち、私の横たわるベッドへとにじり寄ってきていた
「ヤバイヤバイヤバイ」ただそれだけ思って必死に動こうとした
そいつの手が私に伸びてきたとき、ドアが「バン!」と開き、ペットのミニチュアダックスが普段出さないような吼え方で飛び込んできた
その鳴き声を聴いた瞬間体が動くようになってベッドから転げ落ちてはいずるように部屋から出た
後ろではダックスがギャンギャンと吼え、私をかばっているようだった

289 本当にあった怖い名無し sage 2010/07/19(月) 02:04:38 ID:dBVsemAq0
階段を下りて一階へ逃げようとしたが階段に足を取られ転げ落ちてしまい、背中を打った痛みで動けずうずくまっていると
そいつは階段を下りて私のほうへと向かってきてた
相変わらずダックスは吼え続けていたがそいつは気にも留めずに私のほうへとゆっくりと進んできていた
逃げたくても痛みで動けず、そいつに追いつかれてしまい、そいつは私のあごを片手でつかむと無理やり口を開かせてきた
あごが割れるんじゃないと思うくらいの激痛が走り、もがいて抵抗したがそいつはまったく意に介さずもう片方の手を私の口にねじ込んできた
ミリミリと自分の口の端が裂けていっているのがわかった
激痛と悪寒でどうにかなりそうだったが、その時になってようやくそいつが何かつぶやいているのがわかった

そいつは「欲しい欲しい」とつぶやいていた
もうすでにそいつの腕が方の付け根まで私の「中」にねじこまれていた
「もうだめだ、ここで私はこいつに殺されるんだ」と半ばあきらめかけた時、インターホンが鳴った
その瞬間意識が途切れ、目覚めると病院のベッドに寝かされ、そばには両親がいた
私が目覚めると両親は泣き崩れながら私にすがり付いてきた
話を聞くと、あの日私は41度の高熱を出して階段の下で昏倒していたらしい
そして私が目覚めたのはあの日から3日も経っていた
体に異常はないけど、口の両端が2cmほど裂けていた
まるで、無理やりこじ開けられたように

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