Categories: 洒落怖

セキュリティ

この怖い話は約 3 分で読めます。

この間、俺が1人で残業をしてるときに電話が鳴った。
夜7時半くらいだっただろうか。
俺が勤めているところは小さな町工場で、
建っている場所も街からちょっと外れた山のそばのため
この時間になると周囲に人影もない。

「はい、○○工業です」
「ああ、サンジかぁ?」

しわがれた爺さんの声だった。
サンジとは何のことか全くわからないが、聴いた瞬間
俺は「ああ、また間違い電話か」と思った。

というのも、うちの会社の電話番号は、地元のタクシー会社の
電話番号と1番しか違わないために、病院を使う爺さん婆さんが
よく間違えてうちに電話をかけてくるのだ。

「いえ、違いますよ」
「んぁぁ?」
ガチャ

要領を得ない年寄りの電話は一方的に切ることにしていた。
こっちが会社名を名乗った時点で気づいてもらいたいものだが。

また電話が鳴った。

412 2/5 sage 2010/07/07(水) 23:08:23 ID:cQdVfgkq0
「もしもし、○○工業です」
「ああ、サンジかぁ?」
「違います。タクシーの番号なら、×××-××××ですよ」
「んぁぁ?」
ガチャ

一度の電話で間違いに気づかないとは相当ボケてるのか。
こっちはまだ事務処理が残ってるんだからもうかけてくるなよ。
しかし、その願いもむなしくまた電話は鳴った。

「もしもし、○○工業です」
「ああ、サンジかぁ?」

腹が立ってきた。もういっそのこと「そうです」と言ったらどうなるんだろう。
俺はいたずらのつもりで「そうです、何か御用ですか?」と言ってしまった。

「おお、サンジか。じゃあ今からそっちに行くからな」

え?
この爺さんはどこに行こうとしてるんだ?爺さんの勘違いで
見当違いの場所に出かけてトラブルになってもまずい。
俺は間違いだと伝えるために、今かかってきた番号にリダイヤルした。

413 3/5 sage 2010/07/07(水) 23:09:10 ID:cQdVfgkq0
「もしもし」 若い女の声だ。

「あのー、○○工業といいますが、今ですね、そちらのお爺さんから電話がありまして」
「は?なんですか?」
「お宅のお爺さんから、今うちの方に電話がありまして、それで・・・」
「なんですか?うちに男はいませんけど」
「え?お爺さんというか、男の人自体住んでらっしゃらない?」
「なんなんですか?いたずらなら警察を呼びますよ」

どういうことだこれは。
かかってきた番号にそのままかけなおしたのだから
番号の間違いということはない。でも電話先には女しかいない。
さっきの爺さんは一体なんだったんだろう

ドガッドガッドガッ!

突然俺がいる事務所のドアが激しく叩かれた。
びっくりしてドアの方を見ると、ガラス戸の外には誰もいない。
呆然としてドアを眺めてるとまたドガッドガッドガッ!と激しい音がした。
なんなんだ、と思って恐る恐る近づいてみると、ガラス戸の外の
死角になっていた部分に、顔と腕が赤く焼け爛れた男が立っていた。
俺は「うおおおおおおお」と叫び、腰を抜かしてしまった。
よく考えたら、そのドアには鍵がかかってない。

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